・訂正する力
著者:東浩紀
出版:朝日新書(Kindle版)
都知事選で安野貴博さんを東さんが応援しているのを見て、
「そういえば『一般意思2.0』とかで東さんが言ってたネットによる民主主義の可能性みたいなものは今になって現実味を帯びてきたのかもしれないなぁ」
と思って、東さんの最近作として本書読んでみました。
本書自体は、直接的に「一般意思2.0」を受け継ぐような内容ではないですね。
むしろ「ゲンロン戦記」なんかで触れられていたように、東さん自身が経営者としてやっていく中で、
現実どういう風に折り合っていくか、保守もリベラルも先鋭化していって、現実社会を変えていく力を失っていく中で、どういう風にして理論を現実社会を変革させる力とすることができるのか、
そういったことを考えている内容だと思います。
\<もう日本はだめなのでしょうか。ぼくはそうは思いません。ただ、そこで必要になるのは、トップダウンによる派手な改革ではなく、ひとりひとりがそれぞれの現場で現状を少しずつ変えていくような地道な努力だと思います。
そのような地道な努力にもやはり哲学が必要です。小さな変革を後押しするためには、いままでの蓄積を安易に否定するのではなく、むしろ過去を「再解釈」し、現在に生き返らせるような柔軟な思想が必要です。ぼくは本書でその思想について語っていきます。
ものごとをまえに進めるために、現在と過去をつなぎなおす力。それが本書が言う「訂正する力」です。>
<社会はリセットできない。人間は合理的には動かない。だから過去の記憶を訂正しながら、だましだまし改良していくしかない。それが本書の基本的な立場です。>
カテゴライズするとしたら「保守主義」の考え方とも言えますかね。
ただ一般的に言われてる保守主義よりはより改革思考ではあるし、その保守として巻き込んでいこうとしているのがリベラル的な考え方であるって言う点が特徴的なスタンスと言えるでしょうか。
東さん自身は結構リベラルの人たちとバチバチやってますが、基本的な考え方はかなりリベラル寄りだと思うんです。
だからこそ、分断の中で現実社会と乖離しつつあるリベラルをいかにして現実社会に反映させていくのかというのが、東さんの考え方の基本にあるんじゃないかと僕個人は思っています
まぁもちろん「一般意思2.0」で示唆されていたような民意を広く政治に反映させる「デジタル民主主義」的な仕組みに対して東さん自身がネガティブになっているって言うわけではなくて、だからこそ安野さんも支持したんでしょうけどね
安野さんのような動きが実装できるレベルで出てきたことに関しては、東さんとしては嬉しく思ってるんじゃないかと思います。
ただ、単純にそこにとどまれないと言う考えも「一般意思2.0」以降生まれてきていると言うことなんじゃないでしょうか?
この動画の中で、安野さんの取り組みを評価しながらも、そこに収まりきれないものをどうしていくのかと言う点にこだわっているあたりがそれだと思います
https://youtu.be/wo6TBY7e7mA?si=Kw4WeEJx68yvqOyT(https://youtu.be/wo6TBY7e7mA?si=Kw4WeEJx68yvqOyT)
これはまぁ僕もちょっと気になるところではある。
だけど、正直言って、地方自治レベルでは、むしろイデオロギー的なものは入れていかないほうがいいんじゃないかって言う気もしています。
ここら辺は自分の中でもまだ収まりがつかないところではあるし、安野チームが今後どういう風な動きをしていくかって言う中で見ていきたいと思ってるところでもあります。
僕個人は東さんが言っている「訂正する力」っていうのはなかなか面白いと思いますし、賛同できるところは少なくありません
ただ、理論の外側に身体性みたいなもの重視していくって言う考え方についてはわかるんだけど、ついていけないなぁって言うモノも感じたりします。
シラスは長すぎますよw。
アレを求められると付いていける人は限定されるし、そうなると広がりにも限界がある。
それでも地道にコツコツと…ってのも分かるんだけど、それでいいのか、間に合うのかって思いも…。
そう言う意味じゃ今回の都知事選での石丸/安野の動きって言うのは、新しい局面を切り開く可能性を持ったモノなのかもしれませんね。
それが良い方に行くのか、悪い方に行くのかは、これから次第でしょうが…。