鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

まあ、こんな1年でしたかねw:映画評「Death to 2121」

「Death to 2020」に引き続いて、Netflixオリジナルでの<1年間振り返りフェイク・ドキュメンタリー>。

引き続き、ヒュー・グラントが人種差別主義的な反動保守歴史家を、楽しそうに演じています。

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まあ、全体的には「こんな1年やったかな〜」と。

 


トランプが去り、バイデン大統領が登場、

新型コロナに翻弄され、

政治的な対立が、反ワクチン・反マスク運動に絡み合ったり、

気候変動に関する取り組みにスポットが当たりつつ、

混乱の日々が未だ続く…

 


みたいな。

Netflix作品を取り上げた自虐的なノリもあります。

(それにしても「イカゲーム」。マジで大反響だったんですね)

 


敢えて言えば「格差問題」にもうちょっと踏み込んでも…と感じますが、基本コメディですからね。

ちょっとやりにくかったかな?

 


これって「毎年恒例」になるんでしょうか?

それはそれで面白いかも。

 

 

 

#映画感想文

#death_to_2121

#Netflix

 

こんな一気読みは久しぶりでした:読書録「嫌われた監督」

・嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか

著者:鈴木忠平

出版:文藝春秋(Kindle版)

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「無茶苦茶、面白い」

という評判は聞いていました。

でもまあ、別に「中日ファン」じゃないし、バッターとしての落合は嫌いじゃないけど、監督してはよ〜分からんし〜…ってな感じで、スルーしてたんですよ。

それがたまたま年末最終日の退勤時に読むものがなくなっちゃって、何となくポチッとして、帰りの電車の中で読み出したら…

 


いや〜、止まらない、止まらない。

 


夕食を挟んで、一気に読み上げてしまいました。

先に読んだ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」もすぐに読んじゃったんですが、それ以上の勢いでした。

こんなのは久しぶりだな〜。

 

 

 

作品としては「落合博満」が中日の監督であった「2004年〜2011年」を追っています。

この間の中日の成績はリーグ優勝4回(10年・11年は連覇)、日本一1回、8年間全て「Aクラス」という素晴らしい成績。

それでありながら、11年のリーグ優勝<前>に「解任」(正確には契約満了・更新せず)というのが、「嫌われた監督」としての<落合博満>なのです。

 


本書の面白さは、題材である「落合博満」に深く踏み込んで描くのではなく、その周りの選手に、そのキーとなるタイミングで焦点を当てることで、結果として「落合博満とは何者なのか」という問いへの答えを浮かび上がらせようとしているところです。

まあ、正面から落合に取材しても、ホントのところをどこまで話してくれるかわかりませんからねw。

落合から投げかけられた「問い」への答えを模索し、自分なりの答えを見出す選手たちの姿は、本作を描く作者自身の姿でもあるのでしょう。

 


2004年:川崎憲次郎 

2005年:森野正彦 

2006年:福留考介 

2007年:宇野勝 

2007年:岡本真也 

2008年:中田宗男(スカウト)

2009年:吉見一起

2010年:和田一浩

2011年:小林正人

2011年:井手俊

2011年:トニ・ブランコ

2011年:荒木雅博

 


「落合体制」を築き上げていく04年・05年。

一つのピークを迎える06年・07年。

模索の時代の08年・09年。

落合が解任される流れとなりながら、チームとしては連覇する10年・11年。

 


どれもヒリヒリするような展開で、読みどころ満載なんですが、個人的にはやっぱり「07年」。

あの「完全試合」目前で投手を交代させた日本シリーズですかね。

そこで取り上げるのが、交代させられた「山井大介」でも、リリーフした「岩瀬仁紀」でもなく、「宇野勝」と「岡本真也」。

野球に情とロマンを求める「宇野」と、情の結果を知る「岡本」の二人から、この「孤独な決断」を多面的に語っています。

ここ、ちょうど読み始めたのが、電車を降りるところだったんですが、そのまま(07年の章を)読み終わるまで、ホームに立ち尽くしてしまいましたw。

 


<勝者とは、こういうものか……。

私は戦慄していた。

落合は空っぽだった。繋がりも信頼も、あらゆるものを断ち切って、ようやくつかんだ日本一だというのに、ほとんど何も手にしていないように見えた。頭を丸め、肉を削ぎ落とした痩せぎすのシルエットが薄暗い駐車場に浮かんでいた。一歩ドームを出れば、無数の批難が待っているだろう。落合の手に残されたのは、ただ勝ったという事実だけだった。 

闇の中にひとり去っていく落合は、果てたように空虚で、パサパサに乾いていて、そして、美しかった。>

 


落合って、決して「非情」な人じゃないんですよね。

家族との関係を見てればわかるし、本書でもそれぞれの選手に、実は結構な「情」をかけている。

でも一方で「勝つためには何が必要なのか」も分かっている。

その二つが相反した時、「どういう決断をするのか」。

本書の大きなテーマはそれなのかもしれません。

 


(あと「謎解き」もあるかなw。

落合が投げかねた「問い」の答えを探す。

荒木雅博がコンバートされた理由が明らかになるシーンはミステリー的に「やられた」感がありました)

 


<十年に一度くらい優勝すれば、名古屋のファンはそれを肴にして次の歓喜を待つことができる。失敗することも、敗れることもある。ただ、次こそは次こそはと、歓喜を夢想できればそれで幸せではないかという思いがどこかにあった。>

 


阪神ファンだった僕の感覚はコレに近かったかもw。

でも落合が求めていたのは、そんなものではなかったんですよね。

そこには安易な「ロマン」はない。

でもこうやって大きな流れの中で見ると、一歩進んだ「ロマン」(それは「哲学」にも似ている)を強く感じることができます。

 


<「俺が本当に評価されるのは……俺が死んでからなんだろうな」 >

 


死ぬ前の本書が書かれたのは、果たして落合本人にとってどうだったのか。

本人の感想が聞きたいです。

…正面からは答えてくれんかw。

 

 

 

#読書感想文

#嫌われた監督

#落合博満

#鈴木忠平

 

「子離れ」はしなきゃね。:読書録「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」

・ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2

著者:ブレイディみかこ

出版:新潮社

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ものすごく面白かった前作の続き。

10代前半の息子の姿や、取り巻く環境から、緊縮財政で痛めつけられ、格差も分断も進んでいる「イギリス」の<今>を垣間見せてくれます。

 

イギリスは日本の「ほんの少し未来の姿」

 

って想いがあるんでしょう。

実際、コロナ禍ではそういうことに気付かされることが少なくなかったです。(「格差」や「社会保障」の劣化という側面で)

 


イギリスの社会福祉はホントにガタガタにされちゃってるんだなぁ、その中で人々の心も荒み、分断も進んでるんだなぁ・・・と、ちょっと暗鬱な心持ちにも。

その中にあって、周りの人間関係(父母、祖父母、友人関係、地域の人たち)に影響され、時に傷つきながら成長する息子の姿が、若干のセンチメンタリズムと共に描かれています。

出版されてすぐに購入したものの、手を出す気になれず積読してたんですが、読み出したら「一気」でしたね。

通勤の行き来の電車で読んじゃいましたw。

 


前作を読んだときは、緊縮財政下で福祉がどんどん劣化している一方、紹介されるイギリスの教育の中身については「進んでるなぁ」という思いもありました。

その印象は本書でも変わらないんですが、その根本には能力主義的な考えもあることも前作を読んだ以降、知るところもあって、やや複雑な気持ちにもなります。

…でもまあ、やっぱり良いとは思いますよ。

音楽祭とか、宿題の話なんか読んでると。

(一方で、重要なのは「学校」での学びだけでなく、それを踏まえた親子や友人たちとの対話や連携なんだろうな…とも思います。

我が家のリビングでの会話は、中々こうは…)

 


カトリックのイイとこの小学校から、地元の公立中学校に進んだ「ぼく」。

前作では「それで良かった」と言ってたのに、本作ではもう少し違った感想を口にします。

そのことに少し動揺する作者。

そこには二人の関係の変化が垣間見えます。

少年は一歩「独り立ち」の道へと踏み出しているのです。

 


<それぞれの母と子のライフに思いを馳せた。

それは続いていくのだ。近くなったり、遠くなったり、繰り返し変わりながら続いていく。

いつの間にか2階に上がった息子がギターを弾いていた。ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に聞こえたので、なんてタイミングなんだろうと思った。しかし、よく聴いたらぜんぜん違っていた。流行りの新しいバンドの曲かもしれないし、息子が自分で作った曲なのかもしれない。

いずれにせよ、それはもうわたしの知らない曲だったのである。>

 


連載も本作で終わるようです。

親と子が別人格である以上、こういうエッセイを続けていくことには無理がある。

だから、残念だな…と思うと共に、「これで良かった」とも。

20年くらい経ったら、「孫」の話が出てきたりして。「岳物語」みたいにw。

 


#読書感想文

#ぼくはイエローでホワイトでちょっぴりブルー2

#ブレイディみかこ

 

 

 

もう少し腰を据えて読まないと、理解が追いつかないようです…:読書録「ブルシット・ジョブの謎」

・ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか

著者:酒井隆史

出版:講談社現代新書(Kindle版)

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人類学者デヴィッド・グレーバーの「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」は結構気になる本で、コロナ禍での「エッセンシャルワーカー」論でその重要性について語られることが多くなっています。

でまあ、僕も購入はしたのですが…

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なんせこの分厚さw。

完全に「積読本」候補になっちゃってます。

「読みたいんだけど…」

って気持ちだけはあるんですけど…。

 


本書はグレーバーのこの著作の翻訳者の一人による「入門書」。

「おお、ありがたい」

と早速購入して読んでみました。

 


…が、これってそんな簡単に読めるもんじゃないですねw。

かなりチャンとしたグレーバーの著作の「解説」になっていて、キッチリと理解するにはそれなりに腰を据えて読まなきゃいけないようです。

通勤時間の片手間に読み飛ばすような本じゃない感じ…。

でもなぁ、そこまでシッカリ勉強するなら、グレーバーの本を読んだ方がいいしなぁ。

とか思いながら、なんとか一通りは読みました。

 


だからまあ、僕の理解はかなり「独りよがり」です。

この知識をベースに「ブルシット・ジョブ」を振り回すのは、慎重になった方がいいな…くらいの認識はありますw。

 

 


・ブルシット・ジョブとは

まずはこの定義ですかね。

 


<BSJとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でさえある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、被雇用者は、そうではないととりつくろわねばならないと感じている。>

 


メインとなるのは官僚的組織における「管理職」…でしょうか。

コロナ禍で浮き彫りになったのは、「本当に社会に必要な仕事とは言えない仕事に従事している職業」ということで、特に金融業界に焦点が当たっているでしょうか。

ただどれに止まらず、「効率化」の観点から「分業」された仕事なんかも視野に入ってる(らしい)ところがアナーキーであるグレーバーの特徴となるでしょうか。

いずれにせよ、「被雇用者自身が不必要性を認識している」(だからこそ精神的に追い込まれる)ところがポイントです。

 

 


・ブルシット・ジョブが生まれてきた経緯

ここはなかなか難しくて、読んでても自分で整理できていません。

ただ大きな流れとしては、

 


①第二次対戦後の経済成長

がある中で、世界経済が伸長、(少なくとも先進国では)「豊かな社会」が築き上げられてきた中、

②冷戦終結による社会主義勢力の後退

によって、権力者・資本家サイドがカウンターとしての勢力(社会主義的政策を支持する労働者等の勢力)に配慮する必要がなくなり、

③バックラッシュとしての新自由主義/ネオリベによる社会全体の「市場化」

が強引に進められる中で、「市場化」された<数値管理>等の「ブルシット・ジョブ」が蔓延ってきた

 


…みたいな感じになるんでしょうか。

 


「100年後には「経済問題」は解決されている」

 


このケインズのビジョンは実現されるものであったにもかかわらず、その「過程」として想定した「雇用目的仕事」(比喩として「穴掘り」)の概念を、ネオリベが突いてきた…みたいな感じでしょうか?

 


ただグレーバーはそれを「ネオリベの陰謀」みたいには捉えておらず、「対処療法的に進めてきたことが、こういう事態にたどり着いている」って感じで考えていたようです。

 

 


・どうすりゃいいの?

グレーバーの提言は「ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)」のようです。(所得制限のないBI)

 


<グレーバーにとって、 UBIは、 BSJ現象の解消への道筋を、官僚制ひいては国家から解放される道筋とともに想像することを可能にしてくれます。アナキストであるグレーバーにとって、国家の統制による解決は望ましいものではありません。「国家を徐々に小さくしていきながら、同時に状況を改善し、人々をしてより自由なかたちでシステムに挑戦するように仕向ける」。かれはそのような可能性を UBIにみています。>

 


ここら辺、中野剛志さんが論じてた「変異する資本主義」とは違う方向性ですね。

あれは「社会主義的な財政政策」を意図していましたから。

今、米国や日本(「新しい資本主義」w)が目指しているのもコッチぽいから、グレーバーの求めている方向性とは違う流れになっているともいえるのでしょうか。

「エッセンシャルワーカー」や「経済・社会活動におけるケアの見直し」というところでは重なるところもあるんでしょうが…。

 

 

 

 

BSJとエッセンシャルワーカーの倒錯した関係に関する論考なんかもかなり興味深いです。(なぜ「社会的価値」のある仕事を担うエッセンシャル・ワーカーの方がBSJよりも賃金が安いのか?)

その結果、行き着いた先の労働観。

 


<おまえがどんなに生活が厳しかろうが首をくくる寸前であろうが、内臓を売ることになろうが、借金は借金だろ、返済にこんなに苦労するほど借金しないと学歴がとれない社会ってなんだ、とか、なに世界を問い返してるんだよ!?  借りたもんは返すもんだ、これが人間の筋ってもんだろ、と、だいたいこういう感じです。>

<仕事がむなしいだって?  おまえふざけるなよ。この給料泥棒。仕事があるだけでもましだとおもえ。ましてや仕事の意味なんて、おまえ、イカれてんじゃないか?  世間はそれじゃ通らないよ。仕事をしてこそ一人前なんだから、と、こういうわけです。>

<苦痛をへなくても生きていける、人間として成長できる、苦痛まみれの仕事でない仕事で生きていける世界がありうる、といった想像力のないところでは、こうしたサディズムまじりのモラルはますます強力になり、「健康のためには死んでもいい」的な倒錯が強固になります。>

 


文字にするとウンザリしますが、笑い飛ばすのはナカナカ難しいです。個人的には。

 

 

 

アナキストであるグレーバーの視点は、「分析的」であるだけではなく、「社会はこうあるべき」という運動論的なものも含まれているんじゃないか、って印象があります。

その社会像を共有できるかどうかで評価は変わってくると思いますが、「コロナ禍」はある意味、グレーバーの指摘を受け入れる土壌を社会に作ったと言えるのかもしれません。

ただその向こうに

<UBIに支えられたアナキズム的社会>を見るのか、

<社会主義的財政政策を導入することによる資本主義の修正>で良しとするのか

…ってのはあるでしょう。

僕としては…う〜ん、後者かなぁ。

それで「ブルシット・ジョブ」がどこまでなくなるのか、「エッセンシャルワーカー」の地位向上がどこまでできるのか…ってのは、確かに懸念も少なからずありますが…。

 

 

 

#読書感想文

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#酒井隆史

 

 

 

 

 

 

 

もしかしたら欠点は「分かり易くしすぎ」な事かもw:ドラマ評「ウィッチャー シーズン2」

「ホイール・オブ・タイム」で頭が<ファンタジー脳>になってたからかw、すんなり作品世界に入り込めて、比較的短期間に見終えました。

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「シーズン1」は、時間軸が違う<3人の物語(ゲラルド/イェネファー/シリ)>を細切れにして錯綜させる構成になってたので、特に前半は「何が何だか…」って印象だったんですが、「シーズン2」は時間軸は統一されてて、スッキリ。

最初「ゲラルド・シリ」「イェネファー」と別れていた物語も中盤で合流し、ラスト一気…と気持ちの良い流れでした。

 


もっとも「スッキリし過ぎ」かもしれませんがねw。

おかげで「ゲラルド」がエラく真っ当な正義のヒーローっぽくなっちゃってます。

「シーズン1」だとどことなく謎めいていて、底が見えない感じもあったんですけどねぇ。

まあここは「良し悪し」の部分でしょうか。

「シーズン1」みたいなことをやられたら、それこそ誰もついていけなくなっちゃうかもしれませんしw。

 


ゲーム版をやってた人には(ゲラルド以外の)キャラクターのハマり具合には異論もあるようですが、僕は本作のキャラはどれも好きです。

「お姫様」としては「どうかな?」ってとこもあった<シリ>も、アクティブになった本シリーズではなかなかのハマり具合ではないか、と。

ハーベイ・ガヴェルはねぇ。

もう完全な「はまり役」。

もちろん<スーパーマン>もいいんですが、あっちは「クリストファー・リーブ」もいますから。

<ゲラルド>に関しては、もはや彼以外は考えられないでしょう。

 


「シーズン3」の制作も決まってるのかな?

あんまり間を開けずに制作・配信してくれるといいんですがねぇ。

 

 

 

#ドラマ感想文

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#Netflix

予想よりガチの「批評本」でした:読書録「女の子の謎を解く」

・女の子の謎を解く

著者:三宅香帆

出版:笠間書院

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まあ、想定してたのがジェーン・スー/高橋芳朗の対談本「新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない」だったんでw。

アレの「マンガ」版くらいのイメージ。

「うわ〜、結構マジメな本じゃん」

って<期待はずれ>は完全に僕の思い込みのせいです。

 


…とは言っても、「謎解き サリンジャー」みたいな<テクストを読み込む>タイプの書評・評論ではないです。

マンガ・小説・ドラマ等に登場する「女性キャラクター」を取り上げて、その「立ち位置」を当時の社会状況から考察し、現在への影響を考える

…みたいな感じですかね。

「書評」より「批評」に近いし、内容的にはエッセイ的な要素も含まれているという印象です(「厳密さ」の基準が若干緩いという意味で)。

 


<ついでにもうひとつ注釈をつけておくと、まえがきにも書いたのですが、私はけっこうずっと「批評」が好きでした。面白い批評を読んだときの「そういうことだったのか!」と、世界は変わってないのに世界の見方が変わることで、自分の世界がひっくり返る瞬間が好きなのです。

でも世の中で「批評」という言葉が、あまりいいイメージではなく、上から目線で語ることのように使われているのが、なんだかなあ、とずっと思っていました。

なので、もし本書を読んだ方が、少しでも「批評っぽい文章も面白いな」と感じてもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。そう感じてもらえますように、と願いつつ書きました。>

 


豊崎由美さん絡みの「小火」を想定したはずもありませんが、そこら辺のことも思い出される文章でした。

「書評」や「批評」が、<本の宣伝>とは別に存在意義を発揮しつつ、ビジネスとしても成立することはあり得ると思うんですけどね、僕も。

(それが成立しなくなっちゃうと、学問のエリアにこもらざるをえなくなっちゃう。

それはそれで意義のある仕事とは思いますが)

 


個人的にはよしながふみの「大奥」の読み解きや、2010年代のアイドル論なんかは面白かったです。

「女性キャラクター」の時代的な変遷の評価なんかも、なかなか興味深い。

基本的には「フェミニズム」の視点からの評論だと思うんですが、「決めつけ」や「断罪」とは異なるアプローチでの語りになっています。

面白く読ませてもらいました。

 


(本作のからのおススメで読むとしたら「大奥」かなぁ。

でも長いからなぁ、あれも。

それ以外は割とフォローしてた印象。

あ、「侍女の物語」(ドラマ版の方)は途中離脱してますw)

 

 

 

#読書感想文

#女の子の謎を解く

#三宅香帆

 

「多様性」を意識してるのかな?:ドラマ評「ホイール・オブ・タイム シーズン1」

ロバート・ジョーダンの「時の車輪」の映像化。アマゾンプライム・オリジナルです。

原作の方は随分前に読んでて、結構好きだったんですが、何せ「長い」のでw、途中で脱落しています。(全14部。3、4部までは読んだと思うのですが…)

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だいぶ記憶は遠くなってますが、漠然とは「こんな話だったかな〜」と。

マットの厄介な感じとか。

美術やCG、特殊メイク等も、なかなかの水準になってると思います。

まずは映像化は成功なんじゃないかな?(カウボーイ・ビーバップとは違ってw)

 


ただ今回の映像化では、結構登場人物たちの「人種構成」が多彩になってて、そこは読んだ時の印象と違ってて、興味深かったです。

昨今の「多様性」主張への配慮?

でも、ナカナカ面白かったですよ。

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もともとロザムンド・パイクが好きってのもあるんですよね。

僕のモイレインのイメージはもっと<ハクジ〜ン>だったけど。

ランのダニエル・へニーはイメージ通り。

役柄としても美味しい役だったんじゃないか、と。

 

 


ストーリー的には「一区切り」ではあるものの、「まだまだこれから」。

シーズン2の制作はすでにスタートしてるようですから、遠からず「続き」は見れるのでしょう。

しかしこの調子で「14部」やんのかしらん?

そうなると、エンドマークはいつになるのやら…。

 


映像化に合わせて原作も再版されてますから、未訳の13部・14部も翻訳されますかね?

しかし読み直すとすると、これはこれで結構手間な…。

ほんと、「時間」の使い方に悩まされます。

 

 

 

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