鈴麻呂日記

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予想よりガチの「批評本」でした:読書録「女の子の謎を解く」

・女の子の謎を解く

著者:三宅香帆

出版:笠間書院

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まあ、想定してたのがジェーン・スー/高橋芳朗の対談本「新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない」だったんでw。

アレの「マンガ」版くらいのイメージ。

「うわ〜、結構マジメな本じゃん」

って<期待はずれ>は完全に僕の思い込みのせいです。

 


…とは言っても、「謎解き サリンジャー」みたいな<テクストを読み込む>タイプの書評・評論ではないです。

マンガ・小説・ドラマ等に登場する「女性キャラクター」を取り上げて、その「立ち位置」を当時の社会状況から考察し、現在への影響を考える

…みたいな感じですかね。

「書評」より「批評」に近いし、内容的にはエッセイ的な要素も含まれているという印象です(「厳密さ」の基準が若干緩いという意味で)。

 


<ついでにもうひとつ注釈をつけておくと、まえがきにも書いたのですが、私はけっこうずっと「批評」が好きでした。面白い批評を読んだときの「そういうことだったのか!」と、世界は変わってないのに世界の見方が変わることで、自分の世界がひっくり返る瞬間が好きなのです。

でも世の中で「批評」という言葉が、あまりいいイメージではなく、上から目線で語ることのように使われているのが、なんだかなあ、とずっと思っていました。

なので、もし本書を読んだ方が、少しでも「批評っぽい文章も面白いな」と感じてもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。そう感じてもらえますように、と願いつつ書きました。>

 


豊崎由美さん絡みの「小火」を想定したはずもありませんが、そこら辺のことも思い出される文章でした。

「書評」や「批評」が、<本の宣伝>とは別に存在意義を発揮しつつ、ビジネスとしても成立することはあり得ると思うんですけどね、僕も。

(それが成立しなくなっちゃうと、学問のエリアにこもらざるをえなくなっちゃう。

それはそれで意義のある仕事とは思いますが)

 


個人的にはよしながふみの「大奥」の読み解きや、2010年代のアイドル論なんかは面白かったです。

「女性キャラクター」の時代的な変遷の評価なんかも、なかなか興味深い。

基本的には「フェミニズム」の視点からの評論だと思うんですが、「決めつけ」や「断罪」とは異なるアプローチでの語りになっています。

面白く読ませてもらいました。

 


(本作のからのおススメで読むとしたら「大奥」かなぁ。

でも長いからなぁ、あれも。

それ以外は割とフォローしてた印象。

あ、「侍女の物語」(ドラマ版の方)は途中離脱してますw)

 

 

 

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