・ヒポクラテスの悔恨
著者:中山七里
出版:祥伝社文庫
法医学者・光崎教授シリーズ第4作。
前作は「パンデミック」をテーマにした長編仕立ての作品でしたが、本作は連作短編集。
僕はやっぱり好きなんですよね、ミステリーの連作短編。
堪能させてもらいました。
テレビ番組に出演した光崎教授は
「遺体解剖に必要なのはカネ」
と言い切り、視聴者の反感を買う。
番組HPに
「1人だけ殺す。絶対に自然死にしか見えないかたちで」
という投稿があり、埼玉県警は自然死と思われる遺体を巡って右往左往せざるを得なくなる。
果たして犯人の意図はどこにあるのか?
そこには光崎教授の<過去>が…
自然死なのか殺人なのかを見極めるために、少しでも不審なところがある死者の背後を追いかける登場人物たち。
高齢者男性(老人の声)
技能実習生(異邦人の声)
ニートのバイカー(息子の声)
フィリピンパブのホステス(夜蝶の声)
新生児(子供の声)
一見「自然死・事故死」と思われる<死体>の声を聞くことで、明らかになってくる<事件>。
そして光崎の<過去の後悔>が犯人の行動から浮かび上がってくる。
「後悔」って言っても、光崎は光崎なんですけどねw。
背筋の伸びたその偏屈振りに、彼の<信条>が立ち上がります。
<「(前略)わしが謝罪しなければならない相手はお前ではない。悲嘆の声も上げられずに殺された死者に対してだ。自惚れるな」>
いやぁ、いいねぇ。
サイコパス疑惑のキャシー先生も大活躍です。
5作目も発表されてるんだよなぁ。
文庫本になるのを待つべきか否か。
いやはや、悩ましい。