鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

こんな機能のVRはまだまだ実現できないでしょうけど:読書録「名探偵に甘美なる死を」

・名探偵の甘美なる死を
著者:方丈貴恵 ナレーター:浅井晴美
出版:東京創元社(audible版)

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<竜泉家の一族>シリーズ第3弾。
このシリーズは「特殊条件下の不可能犯罪」をテーマにしてるんですが、今回の<特殊条件>は「VR」。


世界有数のゲーム会社メガドロン社が作ったVRミステリーゲームの新作の試遊会に招待された素人探偵8人。
その中には竜泉家の加茂冬馬・竜泉佑樹も含まれていた。
単なる「イベント」のはずが、そこには壮大な復讐劇が仕組まれており、8人は自身と家族や恋人たちの命を賭けた推理ゲームに強制的に参加させられることになる。
現実空間とVR空間の双方で<孤立>させられた探偵たちと、そこで発生する不可能犯罪。
生き延びるためにはその<謎>を解かなければならない。


1作目(加茂冬馬)と2作目(竜泉佑樹)の主人公が登場し、物語の進行役は「マイスター・ホラ」。
メインの視点は「加茂冬馬」になりますが、シリーズものとしての打ち出しは「2作目」よりもかなり強くなります。
「マイスター・ホラ」もちゃんとストーリーに絡んでくるしw。
もっとも前2作にあった読後感の良さみたいなものは本作では感じられませんがね。
その分、ロマンチック要素は強くなってるかもしれません。(それを了とするかどうかは、読み手によって違うかも)


1作目・2作目の<特殊条件>はかなりSF設定でしたが、今回の<特殊条件>はVRということで、そこまでSFではない。
…けど、ここまでのVR技術が2024年11月までに完成することはまずないでしょう。
そういう意味じゃ、やっぱり「SF設定」かな、これも。
もう「推理」するつもりがこのシリーズに関してはなくなってるのでw、それはそれでいいんですけどね。僕としては。


本作で「シリーズ」としての色彩をグッと強くしたこのシリーズ。
ポイントは「タイムパラドックス」?
とすると、「マイスター・ホラ」の出番が増えてくる可能性が高い。
ある意味、「なんでもあり」なのでw、次はどんな<特殊条件>が仕掛けられるのか。
楽しみはそこかな?