・夢の端々<上・下>
著者:須藤佑美
出版:祥伝社(Kindle版)
学生時代に心中事件を起こした女性二人の一生。
まとめてみれば、そういう話。
でも、その「ストーリーまとめ」では掬い取れないものが作品の中には込められています。
思うように生きたように見える女性
思うように生きられなかったように見える女性
でもそう言う第三者が測るような人生の「勝ち負け」や「優劣」じゃなくて、二人には二人だけの「何か」がズッとあって、お互いがお互いを想っている。
すれ違いもあり、思い違いもあり、距離を置いたこともあっても、それでも、
たったひとりの「あなた」だと。
<苦しいことも
悲しいこともあったけど
遠くから見てみれば
淡くて透明な…
青い山脈のようなものよ
もっと遠くから
見れば 空気に溶けて
見えなくなる
忘れることも
たくさんあった
でも
この手を見れば
いつでも
私には命をかける程
好きな人がいたんだ
って思い出せる
これは
かけがえのない
財産なの>
だから二人は一緒に「どこか」へ行けたんだと信じたい。
軽々と。
構図としては「戦後女性史」にも重なるところがあるんですが(「貴代子」には特に。だからこそ、「ミツ」の言葉が響きます)、そう言うイデオロギー的な構図を超えて、魅力的なキャラクターが読む者に語りかけてきます。
「鬼滅の刃」のような作品もある。
こんな作品もある。
漫画って、奥深いなぁ…。