鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「呪い」を解く:読書録「『家事のしすぎ』が日本を滅ぼす」

・「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす
著者:佐光紀子
出版:光文社新書

「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす (光文社新書)

「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす (光文社新書)


ネットで見かけて、ちょっと気になってたところを、書店頭で見かけて購入。
「育児」とか、「母親」であること、あるいは「実母との関係」なんかで、女性が苦慮してたり、囚われてたり、悩んでたりしてることに、
「そんなに苦しまなくてもいいんだよ」
「あなたのせいじゃないんだと」
ってな感じで、後押しをするような本がチョコチョコ少し前から目につくようになってるように感じてるんですが、本書もまたその類かと。


いわれなき「呪い」から解き放つ


そういう意味で、僕自身は「いいことだな」とそういう流れを見てるんですけどね。(もちろん自分自身への戒めと気づきを得るという意味においても)


本書のそれは「家事」。
「女性は(母親は)家事が完璧にできて当たり前」
「きちんと家事をするのが女性(母親)の責務」
そういう「暗黙の了解」(それが行政のスタンスからも支えられていたことが記されています)に対して異議申し立てがされています。


<男女同権が憲法に明記されてすでに70年。そろそろ、女が家事ができて当たり前という呪縛から、男も女も離れてもいいのではないだろうか。女が家事ができないことは恥ずかしいことでもなんでもない。できません、といって誰かに手伝ってもらえば、気持ちも体もずいぶん楽になるのではないだろうか。>


その通りだと思いますね。
もちろん、家事が大好きな人もいるし、家を綺麗にするのが好きな人もいるでしょう。それはそれで尊重されるべきです。
でも、少なくとも「義務」でやるべきじゃないし、家族で分担し、時には外の(友人でも、業者でも)助けを借りる。
そうあるべきだと僕も思います。(なかなかそういう風に行かない事情がそれぞれにあることは承知してますが。僕だって単身赴任中ですしね)


ただ、本書の場合、後半の「断捨離」「ミニマリスト」に関するところについては違和感を覚えました。
過度な「断捨離」や「ミニマリズム」に問題がある。
まあ、それは分かります。なんにせよ、「原理原則」を貫いたり、押し付けたりすることは、「義務」を自分や他人に課すことと変わりないですからね。
ただ、その「否定」を強くし、「こういう風になっては」という「主張」をするのはどうでしょう?


<目指すは「おばあちゃんの家」の居心地のよさ>


言ってることはわかりますし、決して作者はそれをモデルとして押し付けようとしてる訳ではない。
訳ではないんだけど…それはまた別の「呪い」になりませんか?
土産のことや写真のことなんか、ちょっと「自己主張(自分がこうだから、こうしたほうがいい)」っぽいところも感じられて、本の趣旨そのものとも齟齬が生じてるような印象も持ちました。
そこまでは賛同できる流れだっただけに、ちょっと残念でしたね〜。