鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

なんだかポエティックなところも:読書録「知性を磨く」「複雑系の知」

・知性を磨く 「スーパージェネラリスト」の時代
著者:田坂広志
出版:光文社新書(Kindle版)

知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 (光文社新書)

知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 (光文社新書)


・複雑系の知
著者:田坂広志
出版:講談社(Kindle版)

複雑系の知―二十一世紀に求められる七つの知

複雑系の知―二十一世紀に求められる七つの知


何かのネットの記事で「集団的無責任」に関する作者の記事が載っていて、それが面白かったので、そこで紹介されてた「知性を磨く」を購入。
その流れでKindle Unlimitedにあった「複雑系の知」を続けて読みました。
どっちも読みやすくて、2時間くらいでサッと読めちゃう内容。
でも「実業」にも関わってきた作者らしく、「簡単」にやれることではないし、含蓄も深いですけどね。


「知性を磨く」は、まあ「講話」みたいなもんでしょうか?
各章が「第◯話」ってなってるところからも、そんな印象。
語られてるのは現代における「知性」についてであり、その体現者として「スーパージェネラリスト」を定義付けています。
そのために必要とされる「七つの思考」、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」について、語ってくれています。
風呂敷が広がりすぎてて、「詳細は他の自分の著作で」ってなっちゃうあたりが評判を落としてるようですがw、まあ仕方ないですかね。一個ずつ語ってたら、そりゃ新書には収まりません。
こんな感じでザッと概覧できるとこが本書のいいとこだと思いますしね。
ま、定義の仕方次第ってところはありますが、思想/ビジョン/志/戦略/戦術/技術あたりの関連性は考えさせられるところがあります。


「複雑系の知」は97年の作品。
でも読んでて「古く」感じさせないところは大したものだと思います。むしろ今の方がより「現実性」を帯びてるんじゃないかなぁ。
もちろんインターネットへのポジティブさや、ウィンドウズの評価あたりのところには「時代」を感じさせますが、そのこと自体が「複雑系」の「未来予想不可能性」を証明してるとも言えると思います。
「ポエット」「インキュベーター」「ストーリーテラー」「アントレプレナー」「セラピスト」「ゲームプレイヤー」「アーティスト」
という視点から「複雑系の知」を考えるとこも面白いですね。


結局、「実業」を経験してきた作者が、「機械的世界観」や「要素還元主義」では整理しきれない「現実」と対処する上に置いて、考えてきたことや学んできたこと、そして実行してきたことを語ってるって感じでしょうか。
それゆえに語り口が時に小説家、いや、「詩人」のようにさえ思えてしまう。


<そして知を語ることが、究極、自己を語ることであることに気づくとき、我々の耳にはクリシュナムルティが語った言葉が、遠く聞こえてくる。


あなたは世界であり、世界はあなたである。
あなたが癒されるとき、世界も癒される。


この言葉の静けさのなかに、複雑系としての世界は、ただ永遠に、我々を見つめているのである。>(「複雑系の知」結び)


ま、好き嫌いはありますかねw。