- 作者: 魚住直子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/08
- メディア: 単行本
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妻と息子が読んで、
「面白かった!」
と二人とも言ってたので、読んでみた作品。
いやぁ、イイ話です。
150ページくらいの「中編」ですが、充実感と読後の爽快感を満喫できる作品でした。
児童文学の青春小説。
ってジャンルの作品ですが、このジャンルには結構イイ作品があります。
「スポーツ」をテーマにしたのが多いとは思いますが、まさか「園芸」で来るとは…。
それがネタっぽくなくストーリーの中に組み込まれてるところが、また上手い。
植物を育てるのが大の苦手な僕でも楽しめるんですからw。
あまり積極性を感じさせない主人公。
元・不良らしき少年。
「いじめ」が原因で「段ボール箱」を被るようになっちゃった少年。
基本この3人の物語。
「段ボール箱を被る」ってのがエキセントリックな設定ではありますが、それを殊更に大仰に語るのではなく、元・不良少年の想いなどとも重ねながら、「植物に水をやり、育てていく」という行為の中から友情を深め、悩みを乗り越えて「成長」する姿が、割と淡々と描かれています。
この「淡々と」ってところが、終盤の展開で活きてきます。
主人公の家庭の「背景」。主人公の抱える「後悔」。
垣間見、向き合う展開にグッと来ちゃいました。
なかなか「ハードボイルド」ですな、これは。
中高生向けの作品ではありますが、大人も十分楽しめる作品。
賞(日本児童文学者協会賞)も受賞してますから、もちろん世評も高いんでしょうが(僕は知らなかったけどw)、確かにそれだけのことはある作品だと思いますよ。