鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「紋切型社会」

・紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす
著者:武田砂鉄
出版:朝日出版社

紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす



どこかでこの作者の「コラム」を読んだ妻が、「面白そうだから読んでみたい」ということで購入してみた本。
結果的には妻より先に読み終えました。


う〜ん、どうなんでしょうねぇ。
もしかしたら「コラム」なんかは面白いのかも。かなりマイナーなポジションから語るけど、結構「筋」は通ってますから。こういう人の話っていうのは、今、貴重かもしれません。


でも、正直言って本書については「読みにくかった」w。
まあ読む側(僕)の読解力に大きな問題があるとは思いますけどね。最近こういう文章を読まなくなった・・・っていうのは、作者の悲観にもつながるところがあるのかもしれません。
「紋切型」に対して問題提起しているだけに、どうしても論が「最大公約数」じゃないところに行くって言うのはありますかね。それ自体は姿勢としては気持ちよくはありますが。


<ひたすら揚げ足を取り続けているようにも読めるかもしれない。でお、揚げ足を取らないからこそ、その足がずんずん迷いなく歩き出し、空気ばかりが稼動してしまう。
放たれた言葉が紋切型として凝り固まっていく社会はつまらないし、息苦しい。固めないために、とにかく迂回を繰り返す。揚がった足を掴まえてみた。>


ご自身が「はじめに」で書いている、まさにこんな本だったな、と。
「ほぼ日」「糸井重里」などを取り上げて批判的に論じているパートで「分かりやすさ」について批判を重ねているように(<なるほど。わかりやすいです。>、分かりやすく書く気はないんでしょうし。
確かに「ほぼ日」にある「わかる、わかる」の相互承認の世界は「?」なところはありますが、糸井氏にはそこにとどまらない「何か」があると個人的には思ってるんですが。
「届ける」ための「分かりやすさ」っていうのを横に置いちゃたら、それはそれで問題じゃないかなぁ、とも思いますしね。


とはいえ、「分からない」なりに、刺激を受けたのも確かです。単に分からないだけなら一日で読み上げたりはしませんw。
中では割と時事性もあるし、直接的な比喩度も高い「ジャイアン・スネ夫」にみる日米関係論なんか(<うちの会社としては>)は入りやすいほうだったかな。


読み終えて、
「なんか面倒だなあ」(その過半は読む側の読解力にあるんですが)
と思いつつ、どこか気持ちや思考にザラつき感があって、スッと横に置くことができない。
それは本書で投げかけられていることが、僕の「現状」に波紋を落としているってことなんでしょうね。
それはそれで良いのではないか、と。


さて、妻はこれをどう読むのかしらん?