鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

詳しいコトはようわからんが、なぜかワクワクしながら読み終えました:読書録「一億年のテレスコープ

・一億年のテレスコープ
著者:春暮康一
出版:早川書房(Kindle版)

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学生時代の友人、2人と宇宙への夢をはぐくみ、アップロードして情報体となって、不死に近い状態になって、宇宙探索を開始し、数々の異星人と遭遇をし、やがて宇宙の深遠な謎に迫っていく
…まぁ、大枠を言えば、こういう話なんですけど、技術的なところはほとんどわからなかったですw。
宇宙探索の基本的な技術になるVLBIネットワークとか
量子化学何かを活用したアップローディとか
全く環境も文化も違う異星人の生態系とか
ほとんどポカーンで、読み飛ばしみたいなものw。
なんだけど、物語には引き込まれワクワクし、ラストにはちょっと涙が出そうになったりする。
なんか不思議なSF小説でした。

 

本の概要
人類は銀河の友に、 どう貢献すべきか?
現代SFの最前線を押し上げる、 新世代ハードSF作家の初長篇!

『法治の獣』でベストSF2022国内篇第1位&星雲賞国内短編部門を受賞した春暮康一が満を持して放つ、レム、 イーガンに匹敵する、 驚きの宇宙探査SF。

子どもの頃から星空に魅了されてきた鮎沢望(のぞむ)は、高校の天文部で天体観測に夢中になり、 大学では電波天文学を専攻した。
やがて望は、太陽系規模の電波望遠鏡を実現するための、独自の超長基線電波干渉計(VLBI) ネットワークのアイデアを夢想するようになる。
天文部時代からの友人の千塚新(あらた)、 大学の研究者仲間の八代縁(ゆかり)という夢を共有する仲間を得た望は、3人で計画の実現を検討し始めた。
それは、望、新、 縁ら人類が、 後に銀河文明の反映に貢献する道へと繋がっていく、 小さな第一歩であった

ファーストコンタクトSFの世界水準を軽やかに更新する、 傑作宇宙探査SF!
(Amazonより)


この壮大さは「三体」にも通じるところがありますかね。
ただ、あっちに比べると、この作品の登場人物たちは、非常に合理的でクレバーな好奇心で行動します。
物語が本格的に動き出すのは、主人公格の3人がアップロードされてからになっていて、それまでの彼らの人生がどういうものだったのか、どんな家族を持っていたのか…みたいなものはほとんど語られません。
物語の焦点は3人が学生時代から持っている宇宙探索に絞られているわけです。


それに比べて「三体」は、1人の女性科学者の「絶望」からスタートする物語ですからね。
出だしからして相当なエモーショナル。
ファーストコンタクトのほうもずいぶんと殺伐としたものになっていましたが、本作のほうは友好的でポジティブ。
壮大なところに違いはないけど、肌合はかなり違います。
まあ、どっちがいいって話でもないし、好みの問題といや、それまでなんですけどね。


ハードSF好きな人にはとっては、技術のところなんかも興味深くてかなり楽しめる作品になるんでしょうね。これ。
そこまでじゃなくても、ダイナミックなSF小説が好きな人にとってはかなりおいしい作品だと思います。
ぜひ日本映画界で、ドラマ化か映画化を…って、まぁ無理かw。
ドンパチとかもありませんから。
小説だからこそ描ける世界。
そう言うもんかもしれません。
加藤直之さんは見事に絵に仕立ててらっしゃいますけど(表紙)。


個人的には「攻殻機動隊」も少佐がネットにアップロードされたあとの方が面白そうと思ってるし、「われらはレギオン」シリーズも好きなんで、こう言う設定は好みっちゃあ好みなんです。
楽しませてもらいました。
(ちょっと脱落しそうになったトコもあるのは秘密w)