鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

チャドウィック・ボーズマン、フォーエバー:映画評「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」

前作で「ブラックパンサー」を演じていたチャドウィック・ボーズマンの死去を受けて、計画されていた続編でもボーズマンが演じていた「ティ・チャラ(ブラックパンサー)」を病死させ、その喪失から周りの人間たちが立ち直る過程を映画化した作品。

かなり特殊なシチュエーションで作られた作品だと思うんですが、「コロナ禍」という世界的な悲劇の時代をバックボーンにして、観るものの共感を得ることができたんでしょうかね。

大ヒットしたようですから。

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本作で主人公となるのは、ティ・チャラの妹である「シュリ」。

科学者である彼女は、自分の力で兄を救えなかったことに憤りを感じており、その憤りは「敵」であるタイロン国王ネイモアの怒りに呼応し、ネイモアがティ・チャラとシュリの母ラモンダを殺したことによって、「復讐」の闇となって彼女を捕えます。

その「闇堕ち」によって彼女が「ブラックパンサー」となる展開は、本作をヒーロー映画としても特殊なものとしているかもしれません。

前作にもあったアフロフューチャーな世界観の新鮮さや、海洋帝国であるタイロン国の色彩、そしてMCUならではの派手なアクション…と、エンタメ映画としての見どころも十分にあるんですけどね。

 


個人的にはワカンダvsタイロンという対決に物語が収斂していくのはちょっと惜しい気もしました。

両国を対決に追い込んでいくのは西洋の大国のエゴであり、その「いやらしさ」こそが<敵>としては相応しいように感じたので。(ここら辺、マーティン・フリーマン演じるCIA職員のドラマの方で少し触れられてはいます)

まあここんとこはMCUの今後のシリーズで深掘りされるのかもしれません。(そういう傾向があるシリーズではありますしw)

 


物語が終わり、シュリが喪服を燃やす焚き火の中に見た在りし日のティ・チャラ=チャドウィック・ボーズマンの姿。

悲しくも鮮やかなその姿こそが本作の「全て」だったのだなぁ…と改めて思わされます。

それでええんかい?

…ええんやろな。

そういう映画です。

 


エンディングの「サプライズ」もあるし、ワカンダの<未来>の話はまだ続きそうです。

でもあの「ブラックパンサー」を超える存在を果たして見出すことができるのか?

その答えは本作にはありません。

 

 

 

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