鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「明治人」やなぁ:読書録「若者よ、人生に投資せよ」

・若者よ、人生に投資せよ

著者:北康利

出版:実業之日本社(Kindle版)

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日本の林学の大家であり、公園造園家であり、成功した個人投資家であり、篤志家でもある「本多静六」の伝記。

「ひふみ」の藤野英人さんが尊敬してて、北康利さんにお願いしてnoteで連載してたものをまとめた作品です。

パラパラとnoteも読んでたんですが、

「これはまとめて読む方がいいかな」

と途中から「書籍化待ち」していました。

 


まあ、良くも悪くも「明治人」ってのが、読み終えた後の「本多静六」に関する感想ですかね。

とにかくすごい人物なのは、確か。

個人としての努力も、未来に対する展望も、国家や社会に対する高い志も、公私にわたる驚くべき成果も、どこをとっても「驚嘆」せざるを得ません。

戦後の一時期、廃墟となった日本で、彼を目指す人が多くあった…ってのもよく分かります。

 


一方で、「明治」という<時代>があってこその人生であったのも確かでしょう。

彼の投資の基本は「4分の1天引き貯蓄」から始まりますが、それがここまでの成果につながったのは、基本的には維新後の日本社会の急速な成長があったからこそでしょうから。

もちろん

「収入の4分の1を貯蓄」→「それを原資にまずはインデックス的投資」→「個別株投資」

→「不動産投資・事業投資」

ってこと自体がある意味「投資の基本」であって、それを徹底することと、局面局面において的確な判断ができる目を持ってたことが「すごい」ことなんですけどね。

投資家である藤野さんの発案でスタートした作品だけど、意外に「投資」そのものに踏み込んだ記述は多くなくて、本多静六の「ライフスタイル」や「人生観」、取り組んできた「仕事の内容」、社会に対する貢献のあり方、長期的視野に立った計画性…あたりが主眼になってるのも、それだからかなぁ…と。

何か特別な「投資の秘訣」なんてものはない…ってのが煎じ詰めれば本多流だし、それはイコール藤野流なのかもしれません。

 


「人生即努力、努力即幸福」

とか言われちゃうと、「いやぁ」と頭を掻きたくなるんですが、振り返ってみれば結局はそう言うことかもしれないなぁ、とも思ったりして。

それが現世的・世俗的な成功としてどこまで報われるものなのかってのは、「運」や「時代」に左右されるところが少なからずあるだろうけど、少なくとも「最短距離」ではあるかもね、と。

 


50代半ばのおっさんが「本多静六」から何を学ぶのか。

でも歳を取ったからこそ、彼の「凄み」ってのが分かるってのは確かにあるといえばあるんですよね。

逆にいえば、10代・20代でこれを読んで、素直に「人生即努力」と思えるものかどうか…。

時代背景もあるとはいえ、若くしてそのことを実践に移し、生涯徹底し続けたことこそが「本多静六」のいちばん凄いところなんだよな〜。

 


noteでの連載なんかで、若い人もこの作品をたくさん読んでるんでしょうか。

そう言う人たちがどんな風に感じたのか。

それが聞いて見たい気分です。

 


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