鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

謀を巡らせるのは…:読書録「黒牢城」

・黒牢城

著者:米澤穂信

出版:KADOKAWA(Kindle版)

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織田信長に叛旗を翻した荒木村重。

籠城する彼の元に訪れ、捉えられ、牢に押し込められた黒田官兵衛。

…その史実を背景に、有岡城籠城中、「閉鎖空間」である城で発生する奇異な事件の解決を、城主の村重が、囚人である官兵衛に依頼する…というスタイルでの連作短編集になります(収録されているのは4編)。

 


それぞれの事件の背景には「謀(はかりごと)」があり、さらに大きな「謀」がその裏には進展しているという…連作短編としては「ありがち」な構図ではあるものの、それが「戦国」という時代、「荒木村重」「黒田官兵衛」という、一筋縄では語れない武将の、極めて特殊な状況下での廻り合わせを題材とすることで、非常に興味深いエンタメ小説になっています。

 


正直、米澤穂信さんについては僕個人としては「当たり外れ」があるんですが(「古典部」シリーズは乗り切れず、「満願」は好き)、本作は「当たり」の方でしたね。

(まあ、ちょっと「古典部」っぽいとこも、なきにしもあらず…ではあったんですがw)

 


あと「荒木村重」。

僕はこの武将が嫌いなんですよw。

まずはお気に入りの「織田信長」に「あのタイミングで」叛旗を翻したこと。

それ以上に、自分だけが城を落ち、孤立した部下たちを見捨てたことで、女子供を含めた大虐殺(やったのは信長ですが)を起こしながら、自分は天寿を全うした…って生き様がどうも…。

そこら辺にも本作はリーチしています。

もしかしたら読み終えたら、ちょっとは、村重のことが好きになるかな…と思わなくもなかったんですが、そりゃなかったっすねw。

 


歴史好き、ミステリー好きなら、読んで損はない作品ではないか、と。

賞レースに絡んでくるかどうかは、なんともいえませんが…。

う〜ん、「王とサーカス」読むべきかなぁ…。

 

 

 

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