鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

事件は邦題のまんま。でも読後感は原題に…。:読書録「P分署捜査班 誘拐」

・P分署捜査班 誘拐

著者:マウリツィオ・デ・ジョバンニ  訳:直良和美

出版:創元推理文庫(Kindle版)

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ナポリを舞台にした「87分署」スタイルの警察小説。

問題分署「ピッツォフォルコーネ署」に集合した個性溢れる面々が、それぞれプライベートの悩みを抱えながらも、チーム一体となって事件に向かう姿が描かれます。

「集合編」だった前作よりもこなれたメンバーのチームワークは万端。

…なんだけど、なかなか事件の方は…。

 


邦題通り、中核となる事件は「誘拐」事件。(並行してマンションの盗難事件が描かれます)

富豪の孫である10歳の少年が誘拐をされ、その奪還を目指すP分署のメンバー。

作品の原題は「BUIO」=「闇」

少年を覆う「闇」を払うことができるのか?

そして「闇」は…。

少年のラストの独白に一瞬、息が止まる思いでした。

 


並行して描かれてるプライベートの物語も、少しずつ進展していますが、なかなかスッキリとはいかず。

今回は大男「ロマーノ」の物語に胸が痛くなりました。

色男「ロヤコーノ」を巡る恋物語には娘が介入してきて、これはチョット「ニヤリ」とも。

そして署長パルマとオッタヴィアの物語は・・・。

 


年1作発表されている本シリーズはすでに10作が発表されているようです。

翻訳も1年ぶりですが、もうちょい早く出版してくれないかなぁ。

少なくともシリーズ「0」の「クロコダイル」事件だけでも、すぐに…。

 


#読書感想文

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