・チャイナ・イノベーション データを制する者は世界を制する
著者:李智慧
出版:日経BP社
アメリカの長期金利の上昇と、米中貿易戦争への懸念から(と思われる)ドスンと日米の株価が下がった日に読み終えましたw。
う~ん、なかなか「これから」は読み辛いですね。ここで取り上げられている企業なんかも、さてどれだけ生き残れるか。
もっとも大きな方向性が「ビッグデータをベースにし、スマホを顧客接点としたサービス提供」というトコにあるのは確かだと思いますね。
そしてその方向性を考えると、ここで挙げられているアリババ、テンセントを中核とした中国の状況ってのは、本当にすごい。「ユーザー体験」をビッグデータからブラッシュアップしていき、それを生活のプラットフォームとして拡大・進化していく姿には驚かされました。
10年前に中国駐在された方のお話を聞くと、本当に魑魅魍魎を相手にされたようだったし、5年前の駐在の方のお話を聞いても、「中国は難しい」って感じ。
さて、今の方はどう感じておられるのでしょうか?
日中関係も微妙ですから「難しい」のは当然として、この「未来感」は実感されてるのかな?それとも「いやいや、それはホンの一面で、まだまだですよ」ってトコなのかな?
個人的には結構ワクワクしましたね。
こんな風に社会が変わっていくとしたら、それはそれで面白いし、そこに「新しい産業」も期待できると思う。
もちろん政治的な懸念は強くありますが、(信用システムへの政府の関与とかね)それを含めても、やっぱりこれは「驚くべきこと」であり、「見習う点は多々ある」だと思うんですがね。
「試行錯誤」を先にさせて後から規制を入れる米中に比べ、「規制」をベースに混乱をできる限り回避しようとする日本。
しかし新しい「流れ」の前には、その再検討が間違いなく必要なのではないか、と。
こっちがどうのうの言っても、あっちは勝手に進んでいっちゃいます。
ここ数ヶ月、転勤・転居や父の死やらで色々手続きしてますが、まあ「紙ベース」の手続きの多いこと!しかも大半は「電話かメールでええやん」ってものです(保険とかはだいぶ電話でOKになってますが)。結局それってリスクを取らないだけなんですよね。そんなことってほとんど起きないのに。
本書には逆に「顧客の利便を優先して、自らリスクをとる」アリババやテンセントの戦略が紹介されています。
いや、ほんと「目を拓く」思いでしたよ。
(リスクをとる気になってくれれば、それを保険で受けることも…w。って、それもやってることが紹介されてます)
少なくとも「10億」を超える<国内マーケット>を持つ中国で、こういった「試行錯誤」がものすごい勢いで進んでいるのは事実。紆余曲折は(今回の株価も含め)色々あるとは思いますが、自国のプレゼンスを考える上においても、この「キャッチアップ」はすごく重要だと思います。
「キャッチアップ」なんて書かなきゃいけないのは複雑な思いですが、そう言わざるを得ないのが本書の感想でもありました。
いや、ホントに「危機感」を覚えました。
(こういう風に頑張ってもいるようですがw、これは「鳥羽口」くらいの印象ですよ。
<東京海上とドコモ、スマホで自分だけ保険:日本経済新聞>
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36323980Q8A011C1MM8000/)