鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「デジタル化後進国」として、リープフロッグできるのか?:読書録「デジタル化する新興国」

・デジタル化する新興国 先進国を超えるか、監視社会の到来か

著者:伊藤亜聖

出版:中公新書(Kindle版)

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コロナ禍の中で、日本の行政・統治機構の致命的なまでのアナログっぷりが露わになって、菅政権成立後、「デジタル化」の流れが加速しているように見えます。

まあ、河野大臣のリーダーシップと方向づけは今の所は「なかなかのもの」といっても良いんじゃないでしょうか?

 


もっとも「デジタル化」は「脱ハンコ」の向こう側にあるのであって、

デジタル化をベースにどういう行政機構を作っていくのか、

どこまでを規制し、どこまでを緩和するのか、

その先にどういう社会を想定するのか、

…とまあ、先は長いんですけどね。

 


本書は「コロナ禍」も視野に入れながら、

リープフロッグで新興国がデジタル化をベースとしてどういう社会機能の変化を迎えつつあるのか、その中でのGAFA等のIT大企業との関係性はどうなっているのか、そこでの可能性とリスクにはどういうものが想定されているのか

等について整理して解説した作品です。

非常に参考になりましたし、「コロナ禍」という最新ファクターも踏まえての内容になっているので、ビビッド感もありました。

ぜひ、菅総理・河野大臣にも参考にしていただきたいですねw。

 


こういう話になった時、メインアクターとしてGAFAやらBAT、中国、アメリカが出てくるのは当然。

彼らが整理する物理的なインフラやプラットフォームを活用して、ソフトベースでのビジネスや行政機能を構築・活用しているのが新興国の立ち位置になります。

新興国サイドがこのインフラやプラットフォームに食い込んでいく(GAFAやBATのような企業群を輩出していく)というのとは、ちょっと違うんですね。

 


でまあ、日本なんですが、日本も(インフラは整備されてますが)プラットフォームを自前で構築することは、残念ながらできていません。

今後についてもそこは難しいと思いますし、そこにウジウジしてるよりは、スッパリ「そういうのを活用する立場」と割り切った方がいいと思うんですよね。

要は「デジタル化後進国」であることを素直に認める…と言いますか。

マイナンバーなんかもそうなんですが、ここんところに妙なプライドを働かせると、碌なもんができないですし、結果的には新興国にも大きく立ち遅れる有様となってしまう。

今でさえ随分と立ち遅れてますがw、まだギリギリ挽回はできそうなとこなんじゃないか、と僕は思っています。

(5年経ったらアウトでしょうが)

 


またコロナ再拡大の懸念が高まってますが(第3波)、この騒動もいずれはおさまるのは間違い無いでしょう。

そこで、

「あ〜良かった」

で元に戻っちゃうんじゃなくて、覚悟を決めて「デジタル化後進国」としてリープフロッグを成し遂げる。

…それくらいのことを河野大臣には期待したいです。

 


難しい?