鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「内部被爆の真実」

・内部被爆の真実
著者:児玉龍彦
出版:幻冬舎新書



科学者による政治的提言。



と言うと、作者には怒られるだろうなw。
作者は政治的に「配慮」した発言を否定し、科学者には「専門家」としての直言が求められるってコトを繰り返し主張してるからね。
そのコトを踏まえてなお、僕は本書に「政治」を見る。
現実を見据え、その場でなすべき事を判断すると言う、あるべき「政治」の姿を。


作者の主張はある意味シンプルだ。
「除染を進めるべきだ」
そのために障害となる法律や権限の不合理を政治の力で早急に改正し、国家を挙げて「除染」を進める事を表明すべきだ、と。
そうあって始めて失われた信頼を取り戻せるコトができる。
これほど「政治的」な主張が、今あるだろうか?
(だからこそ作者の国会での答弁はYouTubeで100万回以上視聴されたのだろう。
不勉強にして僕は見てなかったんだけど、本書を読んでそれだけの反響を読んだ理由が推測できるように思う)


もちろん、「科学的」には安全を判断する線量ってのはあるんだろう。
あるいはそれは思っているよりもズッと高いのかもしれない。
安全値を見込んだ基準にはその可能性は十分にある。
でもそこより低い可能性だって否定はできない。
その曖昧さの中で「信頼」を取り戻すために必要なのは何か?


作者は言う。
「除染だ」
と。


僕はそのコトに納得感を覚えている。
多くの人もそうだから、作者の答弁はYouTubeで多くの人に見られたのだろう。
もしかしたらその判断には誤りがあるかもしれない。
しかしそれが明らかになるのは、ズッと未来の話だ。
「長期的には、みんな死んでいる」
ならば今できるコトを考える。
作者が言ってるコトはそう言うコトなんじゃないかな?



原発への対応が長期的になるコトが明らかになって来た中、新しい政権がスタートしている。
「今できるコトを考え、着実に実行する」
求められるのはそんな姿勢じゃないかね。
是非、本書の提言を踏まえ、着実な取り組みを進めて欲しいと期待する。


下らない失言に右往左往するんじゃなく、ね。