・世界は経営でできている
著者:岩尾俊兵
出版:講談社現代新書(Audible版)
ちょっと本屋の店頭なんかで見かけることがあって、気になってたんですけど、Audibleの中にあったので聞いてみました。
なかなか面白かったですよ。
作者の主張は作者自身がまとめてくれています。
1 本当は誰もが人生を経営しているのに、それに気づく人は少ない。
2 誤った経営概念によって人生に不条理と不合理がもたらされ続けている。
3 誰もが本来の経営概念に立ち返らないと、個人も社会も豊かになれない。
<結論を先取りすれば、本来の経営は「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)と言う究極の目的に向かい、中間目標として手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を作り上げること」だ。
この経営概念の下では誰もが人生を経営する当事者となる
幸せを求めない人間も、生まれてから死ぬまで一切他者と関わらない人間も存在しないからだ。他者から何かを奪って、自分だけが幸せになることも自分を疲弊させながら、他者のために生きるのもどちらも間違いである。r「倫」理的な間違いではなく、「論」理的な間違いだ。>
「目的」と言う広い視点に立って状況を見直して、冷静になって論理的に物事を整理して考えてみる。
…言い換えてみると、まぁそういうことかもしれません。
本書は作者曰く「令和冷笑体」なるユーモアたっぷりの文章で、いろいろな局面を具体的に事例として取り上げながら、上記のような視点で考え直してみる内容のエッセイを集めています。
貧乏、家庭、恋愛、勉強、虚栄、心労、就活、仕事、憤怒、健康、孤独、老後、芸術、科学、歴史
膝を打つようなものもあれば、ぴんとこないのもありますが、全体としてはかなり面白く読める内容になっています。
作者自身、小説家を目指したころがあるようで、楽しんで書いてるようなところも見受けられます
僕はAudibleで通勤電車の中で聞いてたんですけど、まぁそんな感じで気楽に聞くのに向いてる1冊かもしれません。
言ってることには深いとこもあるんですけどね。
僕個人としては、個人の経験だけを根拠にするようなお気持ち的な話は、あんまり好きじゃなくて、こんな感じで1歩引いた形で論理的に話してくれる話の方が頭の中に入りやすい傾向があります。
でもまぁそれも人それぞれですからね。
そういうのが苦手な人もいるというのもわかります。
人によってはこの「令和冷笑体」が鼻持ちならないって人もいるだろうしなぁ。(僕は楽しみました。)
人に話を伝えるって難しいものです。