鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

これはシリーズになるかな?:読書録「藩邸差配役日日控」

・藩邸差配役日日控
著者:砂原浩太朗
出版:文藝春秋(audible版)

f:id:aso4045:20231213093152j:image

 

時代小説の新しい書き手として最近評価されている砂原さんがちょっと前に発表された作品。
audibleになってたので、聴いてみました。

 

「高瀬庄右衛門御留書」「黛家の兄弟」と、砂原さんの作品は「神山藩」を舞台にしたものが多いのですが、こちらは「神宮寺藩」をいう別の藩の話(しかも江戸藩邸が舞台)となっています。
「神山藩」シリーズは、藤沢周平さんの「海坂藩」のように、架空の藩を舞台にしながら、異なる時代・主人公の作品が発表されています(今のところ)。
1作品での完結度が高いといいますかね。
それに比べると、本作は連作短編として一応の「オチ」はついていますが、もう少し緩いラストになっています。
もしかしたら、同じ主人公で続編が…?
ちょっとそれを期待させる出来です。

 

 

里村五郎兵衛は神宮寺藩江戸藩邸差配役として、藩邸内の大小様々な問題に対処し、陰で“なんでも屋”と揶揄されるほど多岐にわたる業務をこなしている。
ある日、桜見物に出かけた若君が行方不明になるという事件が発生する。五郎兵衛は、江戸家老から「むりに見つけずともよいぞ」という謎めいた言葉を投げかけられる。
この事件を皮切りに、藩主の正室の愛猫が見つからないという問題や、藩の御用商人が改められる経済事件など、次々と難題が里村の前に現れる。

 

 

五郎兵衛の父親も「なんでも屋」を担っており、そのことがラストのオチにつながります。
…これは読めませんでしたね。
こういう時代小説だと、亡き妻の妹との関係って、「まあ、あるよね〜」っぽいんですが、そこを逆手に取った感じかなぁ。
そういう意味では「スッキリ」もしてるんですが、
のんびりしているが腕は立つ部下の若侍、夫を亡くして実家に戻ってきた娘と、小太刀の名手でお転婆な末娘、小料理屋の女将と彼女に託した女中
…と、面白げなキャラを散りばめているので、彼らの「その後」が知りたい気持ちもあります。
重くなりがちな「神山藩」シリーズとは別に、こちらの方は少し軽めのシリーズで…と期待したくなる作品ではあります。
どうかな?

 

 

そういえば「神山藩」シリーズの方も新作が出てましたね。
やっぱり読もうかなぁ。

 

#読書感想文

#藩邸差配役日日控

#砂原浩太朗