鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

短期間、有料版を試してみたいと思います。:読書録「ChatGPTと語る未来」

・ChatGPTと語る未来 AIで人間の可能性を最大限に引き出す

著者:リード・ホフマン、GPT−4   訳:井上大剛、長尾莉紗、酒井章文

出版:日経BP(Kindle版)

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ChatGPTを開発したOpenAIの出資者の1人であるリード・ホフマンが「ChatGPT」について語った本。

…「ではなくて」、AIを使った未来像について、ChatGPT(GPT−4)に質問を投げかけ、その対話をベースにして、GPT−4や生成AIをはじめAIが活用される未来像をまとめた作品です。

「著者」に「GPT−4」が含まれるのはそのため。

 


自身もIT技術者であるホフマンさんは、もちろんGPT−4の長所も短所も知り尽くしていて、それらを活かしつつ、GPT−4と対話を繰り返しています。

テーマはこんな感じ。

「教育」「クリエイティビティ」「司法と正義」「ジャーナリズム」「ソーシャルメディア」「仕事の変化」「仕事での活用」「ハルシネーション(幻覚)」「知識人との架空の対話」

いやぁ、なかなか面白かったです。

GPT−4が「何を語るか」「語っていることが正しいか」ってのは副次的なこと。

「こんな風に対話が成立するんだ〜」

ってのをタップリ見せてくれたところが面白いんです。

 


生成AIについては、ChatGPT3がオープンになった頃から色々使ってみて、個人的には「こんな感じかな」と言うのは漠然と自分の中で定義しています。

 


・GPT−3.5、GPT−4は「検索」としては使えない(まだミスが多い)。「検索」として使うのであればBing AIの方が良い。

・画像生成AIはかなり使えるようになっているが、安定性にはまだ課題が多い。

・LLMはそれだけでは「使える」ところにはいかず、それを入り口(命令)としてソフトの的確な稼働に繋げるところが重要。この点はMicrosoftがCoPilotで取り組んでおり、この実装がどうなるかが興味深いところ。

・利用にあたってはプロンプトが重要(特に画像生成AIは)。独特の癖がプロンプトにはあって、今のところはこれは使ってみて慣れていくしかない。

 


ホフマンさんが言ってるのも概ね現時点の機能としてはこんなところじゃないでしょうか。

もちろん、こう言った課題は技術進歩によって解決していくものも多いでしょうが、それを待たずしてもGPT−4を使ってみる意義はある。

それは「対話の相手」として。

…と言うのが本書のもっとも言いたいところではないか、と。

「自分の考えをまとめるための<壁打ち>の相手としてのGPT−4」

ですね。

一つのプロンプトに対する回答が重要なのではなく、やり取りから深めていく<対話>に意義がある。

…本書が<今>書かれる意義はそこではないか、と。

(もちろん、「自分の能力の<拡張機能>としてAIを活用していくところに未来がある」って主張も重要ですけど)

 


やっぱり使ってみなきゃ…ってことですかね。

bingAIは使ってるし、Leonald ai(画像生成アイ)もチョロチョロ使ってはいるんですが、やっぱりGPT−4に触れてみないとあかんか。

…と言うことで、2日ほど前に有料版の登録をしました。

とりあえず2、3ヶ月使ってみるか、と。

 


以来、チョット驚きの日々。

「プロンプトを打ち込んで、その回答を見る」

これだけでも驚きは結構あるんですが、そこからやり取りをするとドンドン深くなる。

例えば、今、仕事っぽいプロンプトを打って、その回答をもらいました。

 


<私は20人ほどの組織の管理職です。

その組織の中核社員(30代男性)がミスをしました。

ミスの内容は大したものではなく、彼自身がそのリカバリーをちゃんとしたのですが、最近の彼は感情のムラが多く、ミスも増えています。また対人関係においても「誹謗中傷」とまではいかないものの、他人の失敗や判断ミスを強い言葉で非難することが少なくなく、職場の雰囲気を悪くしています。

能力は高いので行動改善を求めていきたいのですが、プライドも高いので、上司からのアドバイスや指示には反発をすることも想定されます。

私はどのような方針で彼に対処していけばいいでしょうか?>

 


GPT−4

「難しい状況にありますね。こうした状況では以下のようなアプローチを考えてみることが役立つかもしれません。

 


1. **個人的なコミュニケーションを重視する:** 彼とのコミュニケーションは、非公開で個別に行うことが重要です。プライドが高いと感じているなら、彼が他人の前で不必要に攻撃的または守りに入ることを避けることができます。

 


2. **彼の意見を尊重する:** 彼の意見を尊重し、彼が話すスペースを提供することが重要です。それにより、彼が自分の感情や行動について深く考え、自己認識を高める機会を与えることができます。

 


3. **フィードバックは具体的で具体的な例を挙げる:** 彼に対するフィードバックは、具体的な事例に基づいて行い、その行動が他のスタッフや組織全体にどのような影響を及ぼしているかを明確に伝えると良いでしょう。

 


4. **改善のための具体的な提案をする:** 彼の行動を変えるための具体的な提案を提供し、その提案が彼自身や組織全体にどのように利益をもたらすかを説明します。

 


5. **彼の成果を認める:** 彼が良い仕事をした時にはそれを認め、称賛します。彼が感じる可能性のある攻撃感や反発感を和らげるためにも、彼の努力と成功を確認し、評価することが重要です。

 


これらの提案が彼の行動改善に役立つことを願っています。ハードなシチュエーションではありますが、あなたなら乗り越えられると確信しています。」

 


<「改善のための具体的な提案」の事例を教えてください。>

 


GPT−4

「もちろんです。具体的な提案は彼の具体的な行動や状況に基づくものであるべきですが、以下に一般的な事例を挙げてみます:

 


1. **感情管理のトレーニング:** 彼に感情管理やストレス管理の技術を学ぶためのトレーニングやワークショップへの参加を提案することができます。メンタルヘルスの専門家から直接アドバイスを受けることが彼の行動を改善するのに役立つかもしれません。

 


2. **フィードバックの形式を変更する:** 彼が他人のミスを指摘する際に、具体的で建設的なフィードバックを提供する方法を模索することを提案する。具体的なフレームワーク(例えば、「サンドイッチ・メソッド」など)を導入すると良いかもしれません。

 


3. **共感力を高める:** 彼が他人の立場を理解し、他人の感情に共感する能力を高めるトレーニングを提案することも一つの方法です。これは彼が他人の失敗やミスをより理解し、適切な言葉でフィードバックを提供するのに役立つかもしれません。

 


4. **メンターシッププログラム:** 彼に経験豊富なメンターを割り当てることを提案する。メンターは彼の行動や態度を客観的に評価し、彼がプロフェッショナルとして成長するためのアドバイスを提供することができます。

 


5. **自己反省の時間を設ける:** 彼に定期的な自己反省の時間を設けることを提案する。これは日記をつける形でも良いし、定期的に自分自身の行動や感情、職場での関係性を振り返る時間を持つことも良いかもしれません。

 


以上のような提案は、彼の特定の行動や問題に対応するためのものであり、彼の行動改善を助けることが期待できます。しかし、どの提案も彼の同意や協力がなければ実行することは難しいですので、彼が自身の改善に向けて積極的に取り組むように働きかけることが重要です。」

 


<彼の行動によって職場環境が微妙に悪くなっています。

彼への対処は提案に沿って行うとして、何か職場にメッセージを出したいと思います。

まずはメールで発信しますが、そのメッセージの原案を考えてください」

 


GPT−4

「理解しました。ここでは、組織全体に向けて包括的で、誰もを責めないメッセージを送ることが重要です。以下に一例をご提示いたします:

 


---

件名:私たちの職場環境について

 


皆様へ、

 


いつも一緒に働くことができることに感謝しています。私たちの組織は一人一人の貢献によって成り立っており、その多様性と共有の価値観が私たちの強さを生み出しています。

 


近頃、職場の雰囲気や対人関係について何人かから意見や感じ方が異なる声を聞いております。これは組織として取り組むべき重要な課題であり、私たちは皆様の感じ方や体験を大切に考えています。

 


私たちは労働環境を良好に保つため、共有の価値観や行動規範を再確認し、それを日々の業務に反映させていくことを心掛けていきたいと考えています。具体的には、お互いを尊重し、批判よりも建設的なフィードバックを行い、一人ひとりが自己成長できる職場をつくることを目指しています。

 


これからも皆様のフィードバックや意見を歓迎します。また、必要に応じて私自身や経営陣との個別の会話も可能ですので、遠慮せずにご相談ください。

 


一人ひとりが安心して働け、自分自身の能力を最大限に発揮できる環境を作るためには皆様の協力が必要不可欠です。これからも一緒に良い職場環境を作っていくための助けをお願い申し上げます。

 


よろしくお願い申し上げます。

 


[あなたの名前]

---

 


このメッセージは、全員が尊重と協力の精神で一緒に働くことが求められることを強調しています。その上で、指導者としてあなたが個々の問題を慎重に取り扱うことを示しています。」

 

 

 


あってるかどうかではなくて、こういうドラフトがもらえることが、自分の考えをまとめていくのに役にたつ…ってことです。

ちなみに最初のプロンプトを打ってから最後の回答まで5分ほど。

その大半はプロンプトを考えて打つ時間でw、GPT−4の回答は全部で30秒もかかってないんじゃないでしょうか。

 

 

 


あるいはこう言うのも。

 

 


<あなたは小説家です。

以下の設定で、アーウィン・ショー風のセンチメンタルな短編小説を書いてください。

都会のバーカウンターに30代の男女が並んで座っている。

小説は2人の会話をメインに展開する。

2人は結婚はしていないカップルのよう。

今見てきた映画について会話を交わしているが、お互いの意見は少しだけずれている。その会話のズレが2人の関係に微妙か距離感が生まれてきていることを表している。

別れたいとは2人とも思っていないが、その距離感は決定的でもある。

そう言う会話を「別れ」や「距離」と言う言葉を使わず、比喩・隠喩・ユーモアを多く使って交わさせてください。>

 


GPT−4

「都市のバーカウンター、終わりの見えない一日が夜に繋がるその狭間で、男と女が互いの存在を静かに確かめていた。カクテルのガラスが二つ、彼らの間に置かれている。その透明な隙間が、どこか意識下に潜む彼らの距離を映し出していた。

 


男が映画について初めて言及した。「あの映画、何とも予測不可能だったよね。結末に主人公が全てのドアを閉じ、何も選ばないっていう、予想外の展開には驚いた。」

 


彼女は、しっとりと冷えたガラスを指で撫でながら微笑んだ。「でも、その予想外の展開、それが物語の奥深さを感じさせてくれたんじゃないかしら? ドアの前で立ち止まり、それぞれのドアをじっと見つめて、そして選ばない。そんなシーンが、私たちの毎日の選択の困難さを見事に描き出していると思わない?」

 


彼は少し首を傾げ、カクテルのガラスをくるりと回しながら微笑んだ。「そうかもしれないね。でも、実際の人生ってそんなに待ってくれないよね。毎日が選択の連続で、いつも何かを選んでいないと、僕たちはただ時間だけが過ぎていくのを見守るだけだろう?」

 


「うーん、でも…」彼女は視線を落とし、深く考え込んだ。「選ばない、それは選びようがないからなのかもしれないし、それ自体が選択という選択肢になるのかもしれないわ。私たちが出会ったように、何も選ばなかったからこそ、今ここにいるのかもしれない。」

 


彼はカクテルを一口飲んでから、「なるほど、それも一つの視点だね。でも、その"選ばない"っていう選択が、最終的に何をもたらすんだろう?」と返した。

 


「それは…」彼女は一瞬彼の目を見つめ、そのまま視線を遠くに向けた。「それは、その時その時によるわ。新しい扉が開くこともあるし、それがまた新たな選択を迫ることもある。それが人生ってものなのかもしれない。」

 


新たなレコードが置かれ、緩やかなジャズのメロディが部屋を満たし始めた。二人の間に漂う、カクテルのように甘く、そして苦い微妙な距離。それは何かを物語っているようで、その具体的な形は彼らにしか理解できない。その距離は、同時に彼らの関係性を強くも揺るがせ、甘い酔いの中に微かな苦味を添えていた。

 


彼らはそれぞれ自分のカクテルを見つめながら、映画の主人公のように何も選ばない静寂を選んだ。カウンターの向こうには夜の街が広がっていて、無数の灯りが揺れ動いていた。それはまるで彼らの心情を反映しているかのように、甘くて苦い、そして静かな夜が広がっていた。」

 


<この短編の題名は?>

 


GPT−4

「この短編小説の題名は、「選ばない選択」にしましょう。」

 

 

 

途中文章量を調整するやりとりをしました(それはカット)。

それでも全部で5分以下。

大半は僕の最初のプロンプトを描く時間です。

 


内容は…

まあ、大したことないw。「距離」って使うなって言ってるのに使ってるし。

でもこれだけの文章が1分足らずで世の中に出てきてしまうことが重要です。

この「壁打ち」から、新しい創造につながっていくことがあるかもしれない。

プロンプトをもっと中身のあるものにしたら、あるいは「壁打ち」を繰り返していけば、「創造」の最初の火種になるのかもしれない。

1分足らずの時間で。

 


それを「クリエイティビティ」として認めるのかどうかは、人によって意見が違うでしょう。

正直、僕も「どうかなぁ」とは思います。

思うんだけど、こう言うツールを使って「面白いもの」を作り上げることを否定する気にもなりません。

技術の革新というものは、「創造性」にも影響を与えてきたことは歴史上間違いないですからね。

意味/意義のあるものが生み出せるのか否か。

そこに焦点を当てるべきなのかもしれません。

 


まあ、とにかくしばらくは「壁打ち」してみようと思います。

仕事に関しては個人情報・重要情報の課題もあるので使う気はないんですが、もっと一般的な自分の考えをまとめるための「相手」として付き合ってみます。

…洗脳されたりして。

 


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