鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

個人的趣味としては、もうチョット穏やかに「古書談義」「文学談義」を読ませて欲しいかな:読書録「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ」

・ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ  扉子と虚ろな夢

著者:三上延

出版:メディアワークス文庫

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「ビブリア古書堂」シリーズ第10作で、娘の「扉子」がヒロインとなるシーズン2の3作目。

今回は「死んだ古本屋の息子の蔵書の相続を巡るドラマ」をメインストーリーとしつつ、3つの連作短編が物語を構成するスタイルになっています。

それぞれの短編で取り上げられるのが、

 


・映画のパンフレット(特に「ゴジラの息子」)

・樋口一葉作品(特に「通俗書簡文」)

・夢野久作「ドグラ・マグラ」

 


締めとなる「ドグラ・マグラ」については、本作そのものに、チョットした「遊び」が仕掛けられてたりもします。

 


まあ、相変わらず面白いですよ。

厚くない(270ページ程度)ってのもありますが、一気に読ませるのは、作者の腕でもあるでしょう。

とはいえ、ある程度「本好き」じゃないと、そうは行かないかな?

「読ませる」最大のポイントは、作中で取り上げられる古書や文学作品に関する「蘊蓄」だったりしますから。

(「ミステリ」のところは、「日常ミステリ」の範疇なので、やや弱いです)

 


僕としてはソコが一番読んで楽しいところなんで、シリーズを通してのテーマである「篠川母娘(孫)」の<ダークサイド>物語の方は、

「ほどほどにしといてや」

って気分なんですけどね。

本作では新たなメンバーも加わって、孫(扉子)を<ダークサイド>に引き込む罠が巡らされつつあるような…。

そういうの「なし」でも十分に面白いと思うんですが、取っ払っちゃたら、北村薫さんの「中野のお父さん」シリーズと変わんなくなっちゃうかw。

 


シーズン2がスタートして、

「どうなるかな?」

という危惧もあったんですが、そこんところは上手いことクリアして物語は語られています。

次作も読むでしょうね。

智恵子さんの策略の方は、ほどほどでお願いいたします。

 

 

 

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