鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

シリーズ完結作としてはまとまってます:読書録「ビブリア古書堂の事件手帖7」

ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台
著者:三上延
出版:メディアワークス文庫


「(古)書店」を舞台にした小説ってのは結構昔からあると思いますが、ラノベにそれを持ち込んで、派生作品(書店とは限りませんが)をワンサカ産んだという意味で、本シリーズの歴史的な意義っていうのは少なからずあるのではないか、と。
そのシリーズも、本編は本作で終了(スピンオフや番外編はあるようですが)。
長く続くことで、質が落ちることを懸念してたんですが(テーマがテーマだけに、「量産」は難しいでしょう)、「いい線」で終わらせることができたんじゃないでしょうか。


本作で取り上げられるのは「シェークスピアのファースト・フォリオ(最初の作品集)」。
物語的には親子三代続く確執の終焉。
この手の連作モノの場合、「因縁譚」や「復讐譚」を持ち込むケースがありますが、結構上手く噛み合わない。
本シリーズについても、
「う〜ん、確かに古書に人生を賭ける人もいるんだろうけど、親子三代の確執とかが絡んじゃうと、ちょっとリアリティは感じないなぁ」
と感じてたので、そこで引っ張られると「う〜ん」だったんですが、そこら辺は上手く納めた感じでしょうか。
「噛み合わないケース」の最たるシリーズ「ブラック・ジャック」を取り上げている作者だけに、そこら辺の塩梅は考えたのかな?w


まあこの手の話で「ハッピーエンド」は当然なのでw、それは「予定調和」で良いんですが、思ってた以上に後味も良くて、気持ち良く読み終えることができました。
スピンオフ、番外編。
良いんじゃないでしょうか。


下手に「シーズン2」みたいな方向にならないことを祈るばかりです。