・HUMAN+MACHINE 人間+マシン AI時代の8つの融合スキル
著者:ポール・R・ドーアティ、H・ジェームズ・ウィルソン 訳:小林啓倫
出版:東洋経済新報社
今後のAI時代において、「働き方」はどのようになるか、その流れの中で経営者はどう言うスタンス・方向性を取るべきか、について書かれた作品。
作者はアクセンチュアのAI関連コンサルタントで、実例を多く挙げながら、「現状」から「未来」を語っています。
解説もアクセンチュアの日本担当の方が書かれていて、具体的かつ現実的で、全体的に面白く読めました。
まあ、ちょっと「宣伝臭い」とこもありましたがw。
作者たちのスタンスは「ミッシング・ミドル」と言う考え方によく表れています。
要は「AIに仕事を奪われる」わけでも「結局は人間にだけしか仕事できない」わけでもなく、「人間とAI・ロボットの協業」のエリアが広がってきており、このエリアをうまく活用した企業が「勝者」となり得る。
…と言うもの。
この活用に必要なフレームワークとして「MELDSフレームワーク」を打ち出しています。
M:マインドセット
E:実験(エクスペリメンテーション)
L:リーダーシップ
D:データ
S:スキル
「フレームワーク」ってあたりが、コンサルタントっぽいw。
で、表題にある「8つの融合スキル」ってのが上記の「S」にあたるもので、こんな感じ。
1:人間性回復スキルー仕事に人間らしさを取り戻す力
2:定着化遂行スキルー人間とマシンの共存を日常化する力
3:判断プロセス統合スキルーマシンの力を借りて判断する力
4:合理的質問スキルー麻疹から必要な情報を引き出す力
5:ボットを利用した能力拡張スキルーボットを使いこなす能力
6:身体的かつ精神的融合スキルー心身ともにマシンと融合するスキル
7:相互学習スキルーマシンに教え、マシンから学ぶ力
8:継続的再設計スキルーマシンとともに変わり続ける力
まあ、「シンギュラリティ」が本当に来たら、「人間とマシンの協業」とか言ってられないのかもしれませんが、現実的にはこう言うあたりに視点を置いて、経営や働き方、人材育成/自己啓発を考えていくんだろうな~と思いました。
そう言う意味じゃ、<今>読むに値する本かと。
一方で本書で挙げられている「GE」が経営的には苦境に立っているとか、「IBM」の「Watson」のビジネス利用が思うように進んでいないってな情報もあって、このエリアが「試行錯誤」の最中であるのも確かでしょう。
ただ他社の試行錯誤を踏まえてその果実だけを取る…ってことが出来なくなりつつある現状もあって、「試行錯誤」そのものを前向きに捉えて、自らもそこに飛び込んで行かなきゃいけない、ってのも確かでしょうがね。
RPAが遅ればせながら日本企業でも活況を呈してきたのは、各社ともそこに足を踏み入れつあるってことなのかも。
そっから先が長いんですが。
(PCも使えないオッサンが軽々に「判断」出来るような時代じゃないというのは確か。大丈夫かいな、ニッポン)
ちなみに本書は「AIが仕事を奪うのではない。AIとの協業の中で新しい職業も生まれてくる」とのスタンスで、その例も本書では具体的に挙げてくれています。
ただ一方で、それらの職業が今までの職業とは異なる知識・経験を必要としており、その職業にスライドするにはトレーニングが必要…ってことも指摘されています。
「決して高学歴が必要ではない」という指摘もあるんですが、う~ん、当面はそうでも、ある種の移行期間を過ぎれば、「人間」サイドに求められるのは極めて知的レベルの高い能力になるようにも思います。
なんかそういうこと考えると、今の就職/採用活動なんか、どうなんかなぁ~とか感じたりして。
もっとちゃんと学校で勉強したの方がええんちゃうかな~。
余計なことかもしれんけどねw。