鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

SFノリかと思いきや…:読書録「R.E.D.」

・R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室
著者:古野まほろ
出版:新潮文庫

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)


東京オリンピックの後、急激に治安が悪化した首都。大量の難民の発生と過激派の台頭とともに多発するテロ計画を察知し、未然に鎮圧すべく、総理直轄・女性6名の特殊捜査班、通称「R.E.D.」が警察庁に設置された>


作者の「古野まほろ」氏は「元・警察官僚」で、リアルな警察小説も書いている作家なので、<未来予想図>を描きつつ、その中での警察組織の活躍を描くハードSFノリの作品。
…を期待してたんですが、ちょいと違いました。
首都が「中京」(名古屋ですかね)に移転された<未来>の設定なんですが、「大量の難民と過激派の台頭」ってのは何となく「背景」になってるだけで、それによるブレードランナーみたいな<未来社会>の変質はあんまり描かれてないんですよ(「東京」はそうなってるのかもしれませんが、舞台は「中京」ですからw)。


中心となる「事件」は「姉歯事件の未来版」。
そこに絡む陰謀の構図も、汚職と隠蔽という「オールド・パターン」。
まあ、警察組織の硬直性や縦割りぶりの描き方は「お手の物」でしょうが、あえてこれを「未来」設定にしたのが、「?」です。
「犯人」サイドの設定には「らしき」とこも無きにしも非ずですが、「主役」である「特殊捜査班」の方は、「SF」というよりは…(自粛)。


専門用語と体言止めの連発でリズムを作る書きっぷりは「向き/不向き」がありますかね。
最初とっつきは悪かったですが、割り切って読み進めると、それなりにドライブ感があって、「これはこれで」って感じになりました。
まあ「楽しめた」と言えば「楽しめた」ので、「あり」かも。セーラー服軍団の無敵ぶりは、ラノベらしいしw。(ま、メンバーのキャラが被り気味ではありますが)


「続編」。
…う〜ん、パスかなw。
でも古野まほろ氏の警察小説は機会があったら読んでみたいとは思ってるんですけどね。