・ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正
著者:大西康之
出版:新潮社
ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正
- 作者: 大西康之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/05/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ノンフィクションは当然「事実」をベースにしています。
ただ作品としては、その「事実」の積み上げを重視し、極力作者の主観を排しながら「事実」に語らせるタイプと、「事実」をベースにしながらも「物語性」を重んじて再構築して、「面白さ」や「テーマ性」を前面に出すタイプ(最たるものがノンフィクションノベルかな)があるように思います。
もちろん二者択一じゃなくて、比重の置き方って意味ですがね。
で、本書は後者。
最終的にシャープとカシオの全面対決となった電卓競争で采配を振るい、シャープに勝利をもたらした人物の伝記です。
非常に面白い作品です。出張中の移動時間に一気に読んじゃいました。
ただあまりにも「面白い」。
面白すぎて、「ホンマかいな」と思っちゃたくらい。
多分本書の一番の欠点はここじゃないかなw。
佐々木正氏の本領発揮は間違いなく「電卓競争」でしょう。
本書でもそこに比重は置かれていますが、それをメインとするのではなく、電卓競争の裏にあった「LSI」。
この発展・普及に関与したところから、情報化社会の登場・浸透に「佐々木正」氏が大きな役割を果たした…と言う「図」を持ち込んでるところが本書の特徴であり、面白さであり、ちょっと「ホラっぽく」なってるところですw。
そのため、副題に出てくるスティーブ・ジョブズ、帯に言葉がある孫正義、日本におけるパソコン浸透に大きな役割を果たした西和彦との関係などへの言及が少なからずあります。
佐々木氏は非常に人脈の広い方で、世界中に広い人脈網を持ってたのは確かなようですし、ジョブズ・孫らとの交友があったのは事実でしょう。
ただ彼の交友のメインは、たぶん彼らより一世代前のIT関連人脈。
それもかなり錚々たるものなんだとは思いますが、いかんせん一般的には知られていない。(僕もよくわかりませんでしたw)
で、ビッグメジャーであるジョブズたちの名前を(多少強引ながらも)前面に出してきたんじゃないか…と言う邪推が入っちゃうところが、本書の欠点じゃないかと思うんですよね。
真偽は分かんないんだけどw。
まあ、元気がでる本です。
「こういう人がいた」…じゃないや。まだご存命(100歳を超えたますが)なんで「いる」。
それだけで嬉しくなります。
だからこれはこれでOKなんでしょう。
個人的にはラストに出てくる「ロボホン」は如何なものかとは思っておりますがw。