鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「鋼」「雪嵐」

・鋼
・雪嵐
著者:ダン・シモンズ 訳:嶋田洋一
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)

鋼

雪嵐 (Hayakawa novels)

雪嵐 (Hayakawa novels)



早川書房がAmazonの電子書籍のセールをしているとの情報が数日前にあり、慌てて「ほしいものリスト」に入れていた早川の作品を購入。
…の中に含まれていた2作。(他はヴォネガットなんかを2、3作購入しました)


しかし買った後に、
「はて?何故これを?」
ダン・シモンズは知ってはいるけど、あまり馴染みのない作家。有名なハードSF「ハイペリオン」も読んでませんし、多分読んだことがあるのはホラーの「殺戮のチェスゲーム」くらいじゃないかと…。それもあまり感銘を受けた記憶はないんですよねぇ。
まあハードボイルド小説なんで、そこらへんが引っ掛って、なんかの折にリストに入れたのか、どうだか…。


でも読んでみたら、これが案外面白いんですよ。アレヨアレヨと数日のうちにシリーズ2作を読んでしまいました。
3作目もあるらしいんですが、これは未訳。う〜ん、惜しい。


傾向としてはチャンドラーよりはハメットでしょうか。献辞に「リチャード・スターク」(悪党パーカー)が出てきますが、ここら辺を狙った路線なのは確かのようです。
ちょっとスペンサーシリーズを揶揄するような遣り取りなんかもありますが、まあココは「洒落」ですかね。


もっとも「傑作」とまでは行きません。1作目の緊張感が続編ではやや緩んじゃったのもチョット淋しい感じがあります。
質の良いハードボイルド小説に(特に日本では)求めがちな文学性みたいなもんはあんまりありませんな。
でもドライな感じのジェットコースターノベル…って言う観点だったら、十分楽しめると思いますよ。
それはまあ、それでいいんじゃないかと。


というわけで、個人的には思わぬ拾い物をした気分です。
この巨匠に、この感想は失礼かなw。