鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「スマホ」は「ナイフ」か「包丁」:読書録「21世紀の『男の子』の親たちへ」

・21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス

著者:おおたとしまさ

出版:祥伝社

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子供たちとの「スマホ戦争」は依然として継続してて、戦線は拡大・硬直状態。

その件は別途書くかもしれませんがw、ちょっとしたキッカケがあって、そこら辺のことが何か書かれてるかなぁと思って、読んでみました。

過去に書かれた作品の焼き直しのようですが、「男子校先生のアドバイス」というよりは、おおたさんの現在の考え方を整理したような内容になってると思います。

(僕としてはそっちの方がイイんですが)

 


「スマホ」に関しては、


「<スマホ>は現代社会においては<ナイフ>か<包丁>のようなもの。

今使わせなくても、いずれ使わざるを得ないタイミングがやってくる。

だとしたら<使い方>を体得できるようにしておいた方がイイ」

 

ってとこでしょうか?

明確に「禁止すべき」とは作者も先生方も言っていません。


<ナイフの使い方にさえ慣れておけば、あとからナタやノコギリや彫刻刀を手にしても、すぐに使いこなせるようになるように、小さいときに火や刃物に十分に触れて、危険との付き合い方、距離の取り方を十分に学んでおいた子供は、その感覚をもとにして、便利だけど危険な文明の利器も比較的短期間で使いこなせるようになるのではないでしょうか。>

 

これは僕の考えにも近いですね。

例えば親元を離れてから、突然フリーに使い放題になるよりは、身近にいる間に使い方を身につけさせた方がイイ。

「ナイフ」や「包丁」と違うのは、大人の側がその「使い方」を知ってるかどうか。

「スマホ」や「ネット」との距離感や使い方っていうのは、大人の方も「勉強中」ってとこが少なくないですから。

そういう意味では、「使い方を教える」じゃなくて、「使い方を一緒に試行錯誤する」ってのが正解だと思います。

まあ、色々口出ししたくなるし、制限をかけたくなるのは確かですがw。

(完全にフリーにするのは、それはそれで問題だと思いますけどね)

 


本書については他のパートについても、論じられている内容に大きな違和感はなかったですよ。

「信頼して放置する」(我慢して見守る)

…そうだとは思うんですが、なかなか難しい。

でも口出ししたり、先回りして手を出したりするのが、「子供たちの経験の機会を横取りしてる」ってのは確かだと思います。

ここは改めて「気をつけなきゃ」と感じたところです。

 


「いつの時代も必要な力+α」として、

そこそこの知力と体力

やり抜く力

自分にはない能力をもつひととチームになる能力

という3つの力(特に今後の社会においては三番目に注目してます)をあげ、「+α」として「真剣に人を愛する経験」。

…この「+α」はどうかなw。

その経験に中から、「倫理観」や「道徳観」を身につけるってのは分かるんですが(これらは座学で学べるものではないし、そこには危うさもあるので)。


少なくともこの点を子供たちに僕が言うのはちょっと…とは思いました。

いや、重要なことやとは思いますけどねw。

 

 

 

ちょっと乗り切れませんでした:映画評「たちあがる女」

少し前に評判になったアイスランドの映画。

ジュディー・フォスターがリメイクするとか、しないとか…

 

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たちあがる女

 

 

…う〜ん、正直言って僕は乗り切れませんでした。

面白くないわけじゃないんですけどね。

個々のシーンでの演出やストーリーには笑ったり、感心させられたり。

「劇伴」との絡みはニヤリとさせられますしねw。


ただ全体としてどういう風に取れたらイイのかが、ちょっとピンとこない。


環境テロリストとしての主張

「母親」になる心情

環境保護に対するアイスランドのスタンス

主人公たちの経済的な背景

etc,etc…


多分「リアリティ」とは離れたところに物語り設定がされてると思うんですが、それがどの程度の距離感があるのかがピンと来ないんですよね。

ま、多分に僕の「勉強不足」の側面もあるんですがw。


ただ1時間半強という上映時間もあって、退屈せずに観ることはできるし、シーンシーンのユーモア、ヒロインを演じる女優の演技等には感心させられるところも少なからず。

そういう意味じゃ、イイ映画なんだろうなとは思うんですけど…


ま、リメイクは観ないかなw。

「項羽と劉邦」がノイズになりました:読書録「蒲公英王朝記」

・蒲公英王朝記<巻ノ一、巻ノ二>

著者:ケン・リュウ  訳:古沢嘉通

出版:早川書房

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「紙の動物園」のケン・リュウによる武侠小説。

「項羽と劉邦」をベースに、架空の世界での壮大な戦国絵巻を描いています。

「繊細なあの短編を描くケン・リュウが…」

と思うんですが、読んでみると、壮大なストーリー展開は「項羽と劉邦」になぞらえつつ、エピソードにおける繊細な表現や心の動き、キャラクターの関係性の変遷なんかに、ケン・リュウらしさが強く出てる感じですかね。

(巻ノ二の戦闘シーンなんかにはSFファンタジーらしさも出てきています)


…で、結構楽しませてもらったんですが、読むのには時間がかかりました。

2週間くらいかかったんじゃないかなぁ。

上下巻、700ページを超える長さももちろんあるんですが、それ以上に一気に読み進める気分になれなかった、と言うか…。

正直言えば「項羽と劉邦」に関する知識が邪魔をして、読み進めるのを妨げたってのがあります。


Amazonの評なんかを読むと、

「<項羽と劉邦>を読む方がマシ」

みたいなコメントもあるんですが、僕はそうは思わないですね。

SF的な仕掛けや、キャラ設定の巧みさ、感情の機微の持って行き方等、文章表現の繊細さ以外にも本書には読みどころがあって、それは「項羽と劉邦」を借りながらも、新しい作品価値を本作にもたらしていると思います。


ただねぇ。

僕って「項羽と劉邦」って随分と昔に司馬遼太郎のを読んだくらいなんですよ。

大まかな展開は分かってるけど、登場人物や細かいエピソードの方はあやふや…

これくらいの知識の人が本書を読むのが一番ダメかもしれませんw。

要は気になるわけです。

「これって史実や<項羽と劉邦>の物語ではどうだっけ?」

って。

知らなきゃケン・リュウの語りを楽しめるし、詳しければ「ああ。これはあれを下敷きか」とすぐに比較ができる。

「たしかあったような気がするけど、どうだっけ…」

このモヤモヤがちょっと遠ざけたりするわけですねw。

結局は面白いんで読むんですけど。


巻ノ二に入って、特に「韓信」が登場してからは相当に面白くなります。

「韓信」のキャラ設定、そこから広がる「女性」の扱い方

「項羽と劉邦」を超えた面白さがそこにはあります。

読み終えて、

「ああ、面白かった」

と思ったのは間違いないです。


本作は3部作の1作目で、既に2作目も本国では発表されているとか。

さて、続きが翻訳されたらどうするかなぁ。

史実をなぞるなら、漢帝国の初期は相当に暗鬱な事件が続くはず。

本作でもそれを匂わせる設定はされています。

「ゲーム・オブ・スローン」的な展開を楽しむつもりなら読んでもイイのかもしれないけど…

ちょっとなんとも言えないです。


ま、出版されたら、その時考えるかなw。

懐かしく、切ない:コミック評「CONFUSED!」

例によって、朝日新聞の書評欄でご紹介いただいた作品。

ストーリーは「Homecoming」というバンドのギタリスト(福富優樹)で、作画はイラストレーター(サヌキナオヤ)というコンビのようです。

不勉強にして、お二人とも知りませんでしたがw。

 

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CONFUSED!

 

 

同じく書評欄で紹介されてた「花と頬」や「ロボ・サピエンス前史」なんかに比べると、尖ったところはあんまりないかな。

絵柄はどこか懐かしく、ストーリーは「ドタバタ」の末に優しく、どこか切ない。

Spotifyで聴いた「Homecoming 」の音楽もそんな感じw。


https://open.spotify.com/album/6g2VJGloN8HVnedNkGEmK7?si=NM7Ne1hQQ7OgxMkJrl5nqw


僕の趣味としては、もうチョイ尖ったところがある方が。

でも寝る前にパラパラって読むのには、これくらいの方がイイかも。

寝室向け?w

 


装丁も含め、センスの良さは間違いなくあります。

そこを楽しめるかどうか…ですかね。

腹の出たエディ・マーフィーが楽しませてくれます:映画評「ルディ・レイ・ムーア」

ネットの評でちょっと評判になってるのを読んで、

「久しぶりにエディ・マーフィーに笑かしてもらいますか」

と観たNetflixオリジナル映画。

いや、これが拾い物。

 

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ルディ・レイ・ムーア

 


70年代に活躍した実在のコメディアン&俳優の伝記映画です。

全然知らない人ですがw。

ただ80年代のラップ・ミュージシャンに影響を与えた人物のようですね。

それを踏まえてか、音楽が実にセンスよく使われています。


物語導入時点の「コメディアン」として成功するクダリ。

まあ「成り上がり」物語は楽しいのですが、肝心の「スタンドアップ・コメディ」の部分は、ちょっと面白さがわからないw。

ラップに影響を与えた…ってことからも、スラングをテンポ良く、畳み掛けるように…ってとこが受けたんでしょうが、僕の英語力ではとてもとても…って感じでした。


ただ序盤を過ぎると、それも気にならないです。

知恵を絞りながら成功していく過程から、一転して「映画製作」に乗り出し、よく分からないながらも、試行錯誤を重ねながら、浮き沈みありながらも、最後にはスターダムに…

って物語は実に楽しい。

そしてその中で、とにかく前向きに頑張る主人公の姿が「エディ・マーフィー」とも重なり、絶妙なフィーリングをもたらしています。

個人的には「エディ・マーフィー」の最高作ですね、これは。

 


スパイク・リーが「グリーンブック」を批判してて、それはそれで分からなくもないんですが、黒人対白人を明確に打ち出さなくても、本作はしっかり「黒人がマイノリティであること」ってことを表現できていると思います。

それでいて、結構深い。

「笑かしてもらう」つもりで見たんですが、(結構笑えるんですけど)「それだけじゃない」んですよね〜。


しかしまあ、(本編にも出てきますが)「ルディ・レイ・ムーア」の作った映画。

ヌルい、ヌルいw。


https://youtu.be/XIHYxECYlik


それがなぜこんなに受け入れられたのか?

そこにはエンタメ界における黒人文化排斥の傾向が見て取れますし(「フロント・ページ」、僕は嫌いじゃないけどw)、「映画」のあり方に対する考え方ってのもあります。

いま、「マーベル映画」についてアレコレ言われているのにも通じる話ですが…。

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ここんところ冴えない感じ(と言うか、日本じゃ完全に忘れ去られてたに近いw)エディ・マーフィー。

見事な復活です。

世界は「雑音」に満ちている:Air Pods Pro使用感

Air Pods Proを装着して、出退勤。

メインの通勤手段は「御堂筋線」ですから、大阪地区じゃ、トップクラスの満員電車wに乗っての通勤です。

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詳細な機能やレビューは既に沢山出ていますからそちらをご覧いただくとして、極々個人的な感想を。

 


<ノイズキャンセリング機能>

「素晴らしい」。

機能をオンにしたら「完全に外音が遮断される」って訳じゃないんですが、これくらいが丁度いいです。

音楽は音量50%以下で十分に楽しめるレベル。


これを「外部音取り込み」にスイッチしたら、


「世の中って、こんなに<雑音>が多いんだ」


って、ちょっと驚くくらいです。(御堂筋線なんでw)

それでいて「外部音取り込み」にしても、音楽は聞こえるんですよね。

<車中は「ノイズキャンセリング」、歩行中は「外部音取り込み」>

が基本です、これは。

 


<マイク機能>

驚いたのはメモを音声入力で書こうと思ったら、バックに音楽がかかったまま音声入力ができるようになってたこと。

しかも精度はむちゃくちゃ高い。

実は音声入力をマイクでするっていうのが今後は重要だと思ってたんですけど、ここまでワイヤレスイヤホンで音を拾ってくれるっていうのはなかなかなかったと思うんですよね。

(これって Proになる前もAirPodsできてたんでしょうか?)

さすがに御堂筋線のホームでメモを音声入力しようとした時には聞き取りは十分じゃなかったですが、これはまあ、仕方ないかなw。


ちなみに電話がかかってきた時はバックで音楽が流れるって言う事はないようです。

相当クリアに音は聞こえたみたいですけどね。

 


<Siri>

歩きながら「Hei,Siri」と読んでみたら、スッと立ち上がりました。

コマンド(天気予報を聞いてみました)もOK。

僕はApple Watchで電話をかけることが多いんですが(Siriを呼んで連絡先を呼び出します)、それよりもズッとスムーズでした。

もっとも地下鉄のホームでの反応が鈍いのは音声入力と同様。

仕方ないとは思いますが、ここでブレイクスルーを個人的には期待したいところです。

 


<装着感>

カナル式ですから耳に突っ込むんですが、今まで使っていたJabraElite65tに比べると、圧倒的に圧迫感がないです。

「ちょっと緩い感じかなぁ」

と思うくらいですが、装着チェック(これがiPhoneで出来ます)をすると「密閉OK」だし、実際に音楽を流すと、ノイズキャンセリング機能でクリアな音楽が楽しめます。

しかも(家族に確認したところ)「音漏れ」も殆どなし。

結果、「緩さ」は「楽さ」になって、長時間装着も苦にならない印象。

通勤時間は1時間ちょっとなんでそこまでの「長時間装着」じゃないんですが、これならもっと着けてても全然大丈夫だな、と僕は思いました。(耳の装着感は個人差があるんで、イロイロとは思いますが)

 

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Appleのデバイスは「機能」と「使用感」のバランスが絶妙なケースが多いですが、AirPodsProも「まさに」。

接続、装着感、ノイズキャンセリング、外部音取り込み

この機能がバランスよく使用感につながっていて、実に感心させられます。

外出時に装着するのはもちろんですが、仕事しながらなかでも、ストレスなく使えるんじゃないかなぁ、と。

ま、僕の場合、仕事中にイヤホンを装着…なんてのは出来ませんが。


多くのレビューで「驚き」が表明されていますが、僕も同感ですね。

Good Jobです、Appleさん。

 

ワイヤレスイヤホンもここまで:Air Pods Proファーストインプレッション

昨日家に帰ったら、宅配ボックスに。

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来た、来た。

 

開封の儀。

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イヤーパッドの交換は実に簡単。

SML確認してみましたが、まずは「M」がフィットするかと。


接続は充電器の蓋を開けたら、簡単に終了。

そうそう、これがAirPods。

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僕は結構前からワイアレスイヤホン派で、AirPodsも第一世代から利用しています。

正直言えばAirPodsを超えるワイアレスイヤホンはなかなかない。

金沢時代の大雪の時に転倒してAirPodsを失くしちゃったんですが、その時もAirPodsを買いなおそうと最初は思いました。


ただその時、金沢を離れることはホボ確定してたんですよね。

で、都会に異動しちゃうと、満員電車での「音漏れ」が気になる。

AirPodsはそこが弱点なんで。


で、結局大阪勤務となり、イヤホンはカナル式のJabraElite65tに。

いや、いいイヤホンなんですよ。

ただAirPodsのちょっとした使い勝手の良さには、ほんの少し…。

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で、今回のAirPodsPro。

ノイズキャンセリング機能がついたカナル式に…。


おお!


…ということで、ソッコーの買いでした。


まだ部屋でしか使ってないんで、週末にでももうちょっと使い込んでからまたレビューは書こうと思いますが、今のところ、

 


Excellent!

 


カナル式なのに、フィット感が実に軽くて、負担がない。

それなのにノイズキャンセリング機能が優秀で、音量を上げなくても音楽がクリアに聴き取れる。

結果、音漏れもほとんどなし!


まあ、相変わらず「うどん」っちゃあ、「うどん」ですが、

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正直、これはもう見慣れましたねw。

短くなった分、「うどん感」が後退してるのは確かですが。


ワイアレスイヤホンではソニーの「WF-1000XM3」が評判ですが、多分負けないんじゃないですかね、、これは。

iPhoneとのマッチングを考慮すれば、使用体験は「上」なんじゃないか、と。

 


(少し前にツイートもしましたが)Appleに求めているのは

iPhoneの5G対応

AirPodsのノイズキャンセリング

…だったんで、今回のProは「待望」でした。


そしてその期待は裏切られなかった。(今のところは)


週末が楽しみやな〜。