鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

かなり凝った設定・物語です:読書録「法廷遊戯」

・法廷遊戯

著者:五十嵐律人 ナレーター:高野憲太朗

出版:講談社文庫(audible版)

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「メフィスト賞」受賞作品で、今度映画化もされるようです。

audibleで見かけて、DL。

 


主人公(久我清義)が通うロースクールでは、「無辜ゲーム」という模擬裁判が遊びとして行われている。

ある日、久我は自分の過去を晒され、その報復のため「無辜ゲーム」に立つ。そのゲームを取り仕切るのは審判者としての「結城馨」。久我は証人として同級生の「織本美鈴」を指名する。

自分を対象としたゲームに勝利する久我だが、その「過去」には織本美鈴もまた深く関わっていた。

スクール卒業後のある日、その模擬裁判として使われていた教室で美鈴が馨を殺害すると言う事件が発生する。

第一発見者は久我。

久我は美鈴の弁護人として、自分たちと馨の<因縁>を知り、<罪>と<罰>と向き合うことになる…。

 


暗く、やり切れない<過去>によって深く結びつけられた久我と美鈴。

…ここら辺、なんだか東野圭吾のシリアス路線の作品(「白夜行」とか)を思わせます。

僕は苦手なんですけどね、あの路線。

 


ただまあ、ストーリーとしては<過去の因縁>を取り扱いながらも、展開としては<謎解き>になってて、その全てが明らかになるのが<法廷>…と言うのが本書の面白いところでしょうか。

美鈴が被告である法廷のシーンはナカナカ盛り上がります。

引き込む力のある作品だとは思いますね。

確かに映像化には向いてるかも。

 


個人的には楽しんだものの、

「ちょっと凝りすぎかもなぁ」

と思わなくも。

まあ「新本格」の流れと見れば、その「無理筋」もありなんでしょうけど、それにしてもちょっと馨くんの狙いは頭でっかちすぎない?

最後の最後で久我に託すんだったら、もっと前の段階で対決しておけば…

…って言ったら、物語にならないですね。はい。

 


「リアル法廷もの」じゃなくて、「新本格」の枠組みに入る作品として楽しむのが正解と思います。

あんまり救われない話に、「楽しむ」ってのもなんだけど…。

 

 

 

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