鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

日常ミステリーってわけじゃないんですね:読書録「名探偵のままでいて」

・名探偵のままでいて
著者:小西マサテル
出版:宝島社文庫

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放送作家の小西マサテルさんが書いた連作短編推理小説。
「このミス」で大賞を受賞しています。


元校長で、小学校教師・楓の祖父はレヴィー小体認知症にかかっている。
病状は徐々に進行しているが、時折幻視を見るものの、祖父の頭脳は変わらず明晰なまま。
孫娘が持ち込む「事件」を、ベッドに横たわったままタバコを燻らせ、彼は推理を繰り広げ解決していく…


こういう体裁の話だと「事件」の内容は、日曜ミステリーがパターンだと思うんですが、それに収まらない事件に見舞われるのが本作の特徴でもあるでしょうか。
殺人事件まで飛び出しますから。


古本の中に挟まっていた死亡記事(緋色の脳細胞)
小料理屋で発生した密室殺人(居酒屋の“密室“)
小学校のプールから突然消えた女教師(プールの“人間消失“)
授業中、突然1人増えた生徒(33人いる!)
消えた殺人事件の目撃者(まぼろしの女)
姿の見えないストーカー(ストーカーの謎)


それぞれ独立した短編になっているのですが、主人公と祖父の「過去」が連作のベースにあって、それが最後に表に出てくる流れになっています。
ここら辺はなかなか読まされました。


もう一つ、主人公の同僚と、その同僚の後輩、そして主人公の3人の人間関係がナカナカ面白かったりするのですが、それが三角関係になりそうな…ってあたりもあるかな。
個人的にはここら辺の展開は特に…ではあるんですけどw


ゴロワーズをくゆらせ、推理を巡らせ、その行方を幻視に委ねる


推理小説としてはそれが型になっているんですが、このケレンミの好き嫌いはあるかもしれません。
作中それを揶揄する表現もあったりもします。
ちょっとゴロワーズはやりすぎなような気もします。
20代の頃頃、ゴロワーズを吸ってた僕が言うような話じゃないかもしれませんけどw。


まぁ面白く読めましたよ。
個人的趣味から言うと、この設定だと「日常ミステリー」の比重を高めた方がいいんじゃないかなぁとは思いますけどね。
そこら辺は好き々でしょう。


もう続編も出版されています。
どうしようかなぁ。
三角関係の行方が気になるならすぐに読みたいところですが、あんまりそこに興味はないので…w。
文庫になったらでいいかな?
Audibleなら、なおありがたいです。