鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

1作ごとに面白くなる。:読書録「木曜殺人クラブ 逸れた銃弾」

・木曜殺人クラブ 逸れた銃弾

著者:リチャード・オスマン 訳:羽田詩津子

出版:ハヤカワミステリ(Kindle版)

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高齢者施設「クーパーズ・チェイス」に住む4人の老人が結成した「木曜殺人クラブ」の活躍を描く第3弾。

クリスティの「火曜クラブ」を連想される1作目から、アクション・スリラー色を強めた2作を経て、ますます面白くなっています。

基本はユーモア小説なんですけど。

 

 

 

「木曜殺人クラブ」が今回ターゲットに取り上げたのは、地元の報道番組のサブキャスターが殺された10年ほど前の事件。

殺された彼女が追っていた詐欺事件に関わる面々を追いかけながら、前作までに仲間になった面々(裏仕事に通じた男や、警察官コンビ)に加え、前作でクラブが刑務所に送り込んだ犯罪者までも巻き込んで事件追及する。

一方、元スパイのエリザベスは夫と共に拉致され、スパイ時代の因縁浅からぬ旧友を殺すことを強要される。

殺さなければ、エリザベスの親友ジョイスを殺す、と。

やがて10年前の事件は新たな死体を呼び、エリザベスは並行して旧友スパイを殺す段取りをつける…

 

 

 

まあ、「謎」はあります。

10年前の事件の犯人や、詐欺事件で失われた「大金」の行方、エリザベスを脅迫する人物の正体や思惑

その謎解きが面白いのはもちろんなんですが、それ以上に楽しいのは登場人物たちの人間関係の動きや、ユーモラスな言動。

ニヤニヤしながら読みつつも、その向こうに窺える「人間が生きていくこと」「人を愛すること」の喜びと哀しみ。

波乱万丈の人生を送ってきたエリザベスが夫のスティーブンを愛し、彼が認知症によって彼らしさを失っていくことを愛情と哀しみを持って見つめ、寄り添う姿がその象徴になります。

スティーブン、本作じゃ大活躍なんですけどね。

 


そして10年前の事件の真相。

そこにも「愛」がもたらした<決断>があったことが明らかになり、胸を突かれます。

これは読めなかったなぁ〜。

その真相が、物語に二重に重なるという…(自粛)。

 


楽しいシリーズなんで、バカンスに読むのには最適。

もう次の作品の発表も直近とか。

いやぁ、楽しみだなぁ。

 


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