・横道世之介
著者:吉田修一 ナレーター:梅原裕一郎
出版:文春文庫(audible)
本屋を覗いた時に、シリーズ3作目&完結編「永遠と横道世之介」が店頭に並んでるのを見かけ、
「あれ、<横道世之介>って死んだんじゃなかったっけ?」
と引っ掛かりを覚えたところに、audibleで1作目がオーディオブックになってるのを見かけてDL。
一気に…って感じでもないけど、3、4日で聴き終えました。
1作目が出て、もう随分になるし、映画にもなってるから<ネタバレ>はそんなに気にすることはないでしょう。
1987年、長崎から上京してきた横道世之介の1年間の物語。
同級生の倉持は同じく同級生の唯と出来婚で大学を中退。
夏場のエアコン狙いで押しかけた同級生・加藤からはゲイ告白を受けるが、特に世之介は気にもかけない。
一目惚れしたパーティーガールの千春とはデートの約束まで漕ぎ着けるが、当日スッポかされて凹み、
大金持ちのお嬢さんで、世間からズレた言動を見せる祥子とは、一緒に長崎の実家に帰省した時にボートピープルと目撃したりして、なんだかんだで付き合うようになる。
時が流れ、2003年に世之介は地下鉄のホームに落ちた人を助けようとして、列車にはねられて死亡。
16年の歳月を超えて、世之介との日々を振り返る友人たちの姿がインサートされる。
「主人公が死んじゃうのか〜」
ってのが引っ掛かって、評判になってるのは知ってたんだけどスルーしてたんですが、事故で死ぬのは16年後、40歳になるかならないか…のタイミングなんですね。
1年間の交友がありながら、友人たちとは全く疎遠になっちゃってるんですが、それでも温かい何かを世之介は彼らの中に残している。
その「何か」が聴いてて切なくもなります。
基本はコメディっぽい小説で、聴きながらニヤニヤし通しだったんですけど。
なんか「もったいないな〜」と思っちゃうのは「祥子」なんだよなぁ。
2年生になった時に、もう覚えてもいないような些細なことで二人は別れてしまい、以降会うこともなかった様子。
結婚し、離婚した祥子は、今は「国連」に勤務し、難民キャンプの支援を行っている。
世之介の事故死を知った時の彼女の回想が本書の一番の読みどころでしょう。
なんか泣けちゃいました。
2人のちょっとズレた、それでいて微笑ましい付き合ってる姿が、なんかいいんですよね。
それがなくなってしまっていることが、なんだか寂しい。
僕が大学生になったのは83年だから、世之介とは同世代。
なんかダラ〜っとした東京の大学生活には懐かしさも感じます。
もっと僕の方が無為に過ごしてたように思うけどw。
だから20代の世之介を描いた「続横道世之介」、30代の「永遠と横道世之介」も、同世代として楽しめるかも。
う〜ん、でも「祥子」は登場しないんだよね〜。
一番楽しかったのは彼女とのアレコレだからな〜。
…ということで、今のところ続編については、
「オーディオブックになってaudibleに入ってきたら」
ってところでしょうか。
そのうち気が変わるかもしれないけどねw。
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