鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

コメディかと思ってたら…:映画評「キル・ボクスン」

<暗殺業界にその名をとどろかす伝説的な殺し屋も、家に帰れば10代の娘をもつシングルマザー。そんな彼女にとっては、殺しより子育ての方が何倍も難しい。>(Netflix作品説明)

 


なるほど。

冷徹で有能な殺し屋が、家庭では娘に振り回される、そのギャップを楽しむコメディ映画なんやね。

なんか、「シタデル」で殺伐とした雰囲気になったから、ちょっと笑わせてもらいましょうか。

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…全然違った。

もっと殺伐としました。

 


韓国暗黒社会で「殺し屋稼業」にルールを設け、トップに君臨するMK。

圧倒的な強さとカリスマで組織を統率するチャ・ミンギュの配下で、突出した強さを持つキル・ボクスンは、10代の娘を1人でシングルマザーとして育てている。

MKの支配下にありながら、ミンギュとの関係性もあってある種の「自由」も満喫するボクスンだったが、学校で問題を起こした娘の悩みに苦慮し、仕事の軋轢にも悩みを覚えるようになる。

気の置けない仲間や自分についてきた後輩たちを、組織の論理の中で失い、ボクスンはミンギュとの対決を決意する…。

 


MKの存在は「ジョン・ウィック」のコンチネンタルみたいなもんですかね。

アクションの傾向も「ジョン・ウィック」シリーズに近い。

「殺し屋」として圧倒的能力を持つボクスンは、組織のルールの中ではあれ、自由気ままに生きているのですが、そこに「娘の悩み」ってのが放り込まれる。

娘の悩みってのは「同性愛者」としての周りの人間との軋轢…なんです。

この「重さ」がボクスンの心を縛り、いつしか組織のルールが彼女の自由を奪っていくことになる。

全然コメディなんかじゃなくて、テンポは良いんだけど、作品全体のトーンはシリアスの比重が大きい印象です。

まあ、そんな中にコメディタッチな描写が顔を出すんですが、その塩梅も「ジョン・ウィック」っぽいかなw。

 


個人的にはかなり好きな映画です。

根っこのところにあるのが、組織のトップであるチャ・ミンギュのキル・ボクスンに対する「執着」なんですが、この「執着」のきっかけのシーンが、インモラルだけど、実に「美しい」。

「そりゃやられるわ」

とミンギュに共感したりしてw。

 


エンドクレジットでボクスンの娘が「自由」を手に入れた姿を観れるのも、なかなか爽快。

よく考えたら、

「ええんかいな、それ」

って話でもあるんだけど。

 

 

 

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