以前、妻と映画に行った時に予告編を見て、
「面白そうだな」
と話してたんですよね。
公開2週目の日曜に二人で観に行きました。
老若男女、これだけ観客が入っている映画を観るのは久しぶり。
経済的に厳しい状況にあるパリのタクシー運転手。
長距離のお客ということで、老人ホームに入居する92歳の女性を家からホームまで乗せることになります。
その車中で彼女が語る驚きの人生…
予告編を見たとき、この「驚きの人生」のことを、なぜか「戦時中に女スパイをやってて…」みたいな展開だと思い込んでたんですよ。
そこからかつての敵対者やら今の政府やらが彼女の命を狙うようになり、タクシーでの逃避行が…みたいな。
全然違いました。
リュック・ベッソンの「TAXI」じゃないんだからw。
戦前に生まれ、40年代・50年代に20代・30代を過ごした女性。
フランス社会ですら「男尊女卑」の傾向は根強く、「家庭」の中で女性は虐げられる存在であった。
その中で自分の子供を守るために声を上げた彼女は…
…という「重い」展開。
「重い」んだけど、語り口には明るさもあり、ユーモアもあって、観終わった後の気分にも良いものがあります。
語られる人生そのものは、本当に遣る瀬ないんですけどね。
でもタクシーからパリを見つめる彼女の表情は、本当に柔らかで、明るいんですよ。
それが自分の人生を振り返る彼女の気持ちなんだろうなぁ、と。
主人公二人とも不勉強ながら僕は知りませんでしたが、老女の方は有名なシャンソン歌手(リーヌ・ルノー)、タクシー運転手はコメディアン(ダニー・ブーン)。
実生活でも交流がある二人がいい雰囲気を出しています。
ストーリー的には、女性と息子の関係の「あと」の人生をもう少し知りたいところではあるんですが、それは彼女にとっては「付け足し」だったのかもね。
社会にとっては、その期間でこそ彼女は真価を発揮してくれたのかもしれないけど。
「小品」ではあるけど、「観せる/魅せる」作品ではありました。
小さいけど、梅田のスクリーンがいっぱいになるくらい。(パンフレットもすでに売り切れでした)
こういう映画も、チョコチョコは観たいもんです。
#映画感想文
#パリタクシー