鈴麻呂日記

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こう言うの、好きなんですよね〜:読書録「家康、江戸を建てる」

・家康、江戸を建てる

著者:門井慶喜 ナレーター:東正実

出版:祥伝社(audible版)

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豊臣秀吉による徳川家康の「関東移封」。

家康の力を削るために秀吉が講じたこの策を、なぜ家康が受けたのか

…については諸説あるようですが(そもそも「断れたのか」ってのもあるし)、本作では「関東」という土地に将来性を見たと言う立場に立っています。

家康の見立てた「将来性」を実現していくために、多くの改革・開拓・変革が行われるわけですが、その「政策」ごとに、中核となるキャラクターを選んで、物語を構成した連作小説になっています。

 


第一話 流れを変える:治水工事<伊奈忠次、その一族>

第二話 金貨を延べる:貨幣政策<橋本(後藤)庄三郎>

第三話 飲み水を引く:上水道工事<大久保主水、内田六次郎、春日与右衛門

第四話 石垣を積む:江戸城構築<見え好き五平、喜三太>

第五話 天守を起こす:天守閣築城・家康の展望<徳川秀忠>

 


第四話までは「施政者」と言うよりは、現場で政策を実現していく「職人」気質のキャラクターの奮闘を描いています(第四話は架空の人物かな?)。

そして締めの第五話で「徳川秀忠」を主人公として、家康の天守閣に関する謎かけを秀忠が解く中で、家康の江戸開府の意図や見通し、想いを語らせます。

この「第五話」はチョット観念的なとこもあって、

「いやぁ、そんなこと考えてたかなぁ?」

って思わなくはないんですがw(史実としては。物語としては「あり」です)、四話までは「困難を工夫で突破していく現場の人間たちの物語」で、僕はこう言うのは結構好きなんですよね。

江戸開府を巡る「プロジェクトX」って感じ?w

 


それにしてもこれだけの壮大なプロジェクトを立ち上げ、遂行した「德川家康」は、やはり偉大な人物。

…って、「偉大」なのは当然として、こう言う「領国経営」は戦国武将の必須要素でもあったってのもあるでしょう。

江戸時代の「藩政」も近いところはあるのせよ、「失敗したら国が滅び、自分も、一族郎党も死ぬ」と言う切迫感は大きく違う。

「第二話」で家康が密かに仕掛けたはずの「貨幣戦争」に、秀吉がすかさず対応するあたり、戦国武将の能力の高さを窺わせるクダリでもあります。

 


ではなぜ「德川家康」が抜きん出て天下を獲ることができたのか。

 


「時代」もあるし、「運」もあるでしょう。

あえて家康個人に要因を求めるなら、「人を見る目」…と言うのが本書の見立てですかね。

それを受け止めるだけの「家臣団」があった…ってのも歴史的にはあるのではないか、と。

「ヒト」の物語としたところが、本書の面白さでもあると思います。

 


来年の大河は「德川家康」かぁ。

どんな感じになるんでしょうかねぇ。

 

 

 

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