単身赴任している夫がトラブルに巻き込まれ、面倒を見にいかなければならなくなった妹。
最近、疎遠だった兄に来てもらい、息子の面倒を見てもらうことに。
夫の面倒を見る期間が予定より長くなったため、仕事のある兄は甥っ子を連れてLAからNYに、そしてニューオリンズへ移動する…
ってのが基本的な流れ。
その過程での主人公(伯父)と少年(甥)の心の交流が描かれる…ってのは観なくても分かる話w。
…なんですが、観終わった後に僕の中に残った感情は、単純なものではありませんでした。
まあ、流石に「寅さんと満男」にはならんやろうと思ってたんだけど、「アバウト・ボーイ」みたいな感じなんじゃないか…と予想してたんですけどね。
あんな感じに「スッキリ収まる」ような映画じゃぁなかったなぁ。
ハッピーエンド<的>ではあるんですけどね。
母親をめぐる主人公(ホアキン・フェニックス)と妹との関係、妹夫婦のセンシティブな状況、妹夫婦と主人公の関係、妹夫婦と息子との関係etc,etc
それぞれの一様でない関係性が物語の展開の中で徐々に示され、それぞれが少年(主人公の甥)に与えている影響や傷が仄めかされる。
主人公は少年と向き合うことでそのことを教えられ、彼のセンシティブなところに寄り添うようになる。
そしてラストには少年が心の中で持つ<畏れ>が口にされ…。
「自由人のおじさんが、チョット内気な甥っ子に、自由な振る舞いを教える」
と言うような話じゃなくて、本作ではオジサンの方が甥っ子に学んでいきます。
その誠実な振る舞いと関係性の繊細さ。
いずれは少年はそれさえも忘れてしまうかもしれないけど、伯父さんと寄り添って生きた日々の記録は残されている。
伯父さんがこの世を去ったとしても、記録の中には伯父さんが少年のそばにいる。
…って読みは、チョット僕の読み過ぎかもしれませんが。
美しいモノクロの画面、練り込まれた脚本、役者たちのレベルの高い演技(特にホアキンと少年)、挟み込まれる素人の子供たちへのインタビューの記録
アート系の作品なのは間違い無いので、その手の傾向が苦手な人にはチョット鼻につくかもしれませんw。
でも上質なのは間違いなし。
観て損はないと思います。
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