鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「テクストを読む」ってのは、こういうことかなぁ:読書録「謎解き サリンジャー」

・謎解きサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか

著者;竹内康浩、朴舜起

出版:新潮新書(Kindle版)

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なんか「帯」が煽ってますが、結構評判になった本です。

ちょっと気になってたんですが、BRUTUSの「村上春樹」特集を読んだ流れで、読んでみようかなぁ…と。

いや、BRUTUSに出て来る訳じゃないんですけどねw。

 


「グラス・サーガ」と言われる「ナインストーリーズ」等の短編集は、僕は全部は読んでない…と思いますw。

いや、いろんな訳でポロポロ摘み読みしたようなところがあって、もしかしたら全部読んでるかもしんないなぁ、と。

でもまあ、「ナインストーリーズ」の冒頭の作品。

「バナナフィッシュ日和」(バナナフィッシュにはうってつけの日)

これはハッキリと覚えています。

なんせ、ラストが衝撃的。

 


で、この「衝撃的ラスト」から謎解きが始まり、「グラスサーガ」を巡ってあれやこれや考えが巡らされ、「ライ麦畑でつかまえて」に至る。

…というのが本書の流れです。

「バナナフィッシュ日和」のラストは「シーモア」(グラス家の長男)の突然の拳銃自殺で締められます。

…いや、あれは本当に「自殺」だったのか?

死んだのは本当に「シーモア」だったのか?

…ってのが「謎解き」のスタート地点です。

 


そう聞くと、なんか「魅惑的」ですわなぁ。

で、実際読んでみると、これはこれで個人的には面白く読めたんです。

なんだけど、「エンタメ」的な面白さかって言われると、「…」かな。

一時期よく言われた「テクストを読む」という視点からの<謎解き>とでも言えばいいのか、純文学的「新本格派」のトリッキーの極北(何言ってんだかw)とでも言えばいいのか。

ぶっちゃけ、推理小説的な「犯人は誰だ」ってとこには行きません。

 


<答えは、サリンジャーの異常なほどの面倒くささにあったのではないか。  

小説など娯楽なのだから読んで面白いかどうかが勝負なのだ、というタイプの人は、その面倒くささに付き合うことはしない。>

 


それなりに興味深く読みつつも、最後に思い至ったの、

「所詮、僕は<小説など娯楽なのだから読んで面白いかどうかが勝負なのだ>っちゅうタイプの人間なんやな」

という結論です。

こんなめんどくさいのに付き合っていくのは、ちょっと無理っす。

 


しかしまあ、サリンジャーってここまで「禅」や「俳句」にはまり込んでたんですね。

なんかそれも不思議な感じがしました。

 

 

 

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