鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

いい人なんやし、能力も高いんやけどなぁ:映画評「なぜ君は総理大臣になれないのか」

評判になってる小川淳也さん対談本「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?」を読んでて、チョット違和感も感じたので(その点はいずれ本の感想でコメントします)、先んじて評判になったこの映画をNetflixで視聴。

一気に見ちゃいました。

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小川さんはかなりの政策通で(「時給は〜」でそれはよく分かります)、説明能力も高い方なんですが、このドキュメンタリーではその点はあまり強く出てきません。

「選挙」そして「政治家(政党)」というもののリアルなところが描かれているのと、それを通じてこの20年足らずの間の日本の政治の「あれやこれや」を再確認させられます。

(選挙区でのライバルは平井卓也大臣。バリバリの世襲&看板・地盤政治家です)

 


白眉は「希望の党」(あったねw)と「民進党」の合併騒ぎに翻弄された衆院選(2017年)。

ここで「希望の党」の公認を得つつも、悩み続ける小川氏、その周りの人々の姿が印象的です。(小川氏は国民民主党結成時には無所属を選択することになります)

 


ドキュメンタリーとしては民主党時代が抜けてるのが残念…かな。

まあ、そこは追いかけてなかったんですよね、監督が。

あの時代の小川氏の高揚と絶望を見せてくれると、それはそれで深みがもっと出たと思うんですけどね〜(←無い物ねだり)。

 


*過去の記事で小川さんは民主党政権をこう評価されています。

https://shuchi.php.co.jp/article/6238

 


「一言で言うと、政治主導をはき違えた結果、実務能力が低い政権だった。私は昔野球少年だったんですが、政権交代と野球の攻守交代ってよく似ていると思っていて。与党は守備につき、野党は打席に立つ。民主党は、政権交代して守備についたのに、守備位置で全員がバットを振っていたんですよ(笑)。国家を統治するという仕事と、政権を批判するという仕事の違いすら、明確にわかりかねていたきらいがあったと私は思います。

具体的な失敗点は三つ。一つ目は普天間と尖閣を巡って、外交関係が稚拙だった。二つ目は行革と天下りの禁止、事業仕分けで財源が16兆円出てくるから、あらゆる公約は増税なしで実現すると言っていたのに、ほとんど財源は出ず。公約の実現力において、甚だ不十分でした。最後は消費増税。消費税は上げないと言ってできた政権だったのに、財源がないとなり、消費増税に踏み切った。政治と国民との信頼関係を根底から傷つける約束違反ですよね。この点に関して真摯に総括し、謝罪すべきだと私は今でも思っています」

 


これに「内ゲバ気質」を足せば、評価としては妥当でしょうw。

 

 

 

父親や監督がコメントしてる通り、本人は本当は「政治家」には向いていないのかもしれません。

16年時点での安倍政権への評価(自民党でも右のポジションにいながら、政策は中道〜左にウイングを広げている。結果として極右の台頭を抑える役割を果たしている)とか、色々クレバー。

でもクレバーなだけじゃ、政治家としては…ってあたりです。

評論家の田崎史郎さんとなぜか近しかったりするようですが、田崎さんは「評論家向き」と見てるのかもw。

 


「統計王子」として注目を浴びるようになって、「党内政治」(政権批判を先導する)もやるようになってるようです。

いいのか、悪いのか。(やらなきゃ埋没しちゃうだけなのは確か)

難しいね、ここら辺。

 


もっと「左寄り」のドキュメンタリーかと思いましたが、決してそんなことはなく、小川さんの誠実さがよく伝わってくる映画です。

「総理」には…なれんと思うけど。

 


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