鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

自分が「正しい」と思うことが、他の人にとって「正しい」とは限らない:読書録「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた」

・時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた

著者:和田静香、取材協力:小川淳也

出版:左右社

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…で、この本の方。

面白かったんですけどね〜。

でも何となくモヤモヤも…。

 


もやもやポイントは以下です。

 


①小川淳也氏の政策についてはよく分かりますし、かなりの「政策通」なのも理解できる。

ただその内容として「立憲民主党」と相入れるところがあるのか?特に解雇規制の緩和による雇用の流動化については連合との関係とかどうなのよ?という印象。

 


②人口減少を最重要視し、それを前提として社会保障や経済のあり方を変えていくべき…という考え方は理解できる。「ベーシックインカム」「ベーシックサービス」に関する考えもよく分かる。

ただ民間における「経済政策」のあり方が今ひとつピンとこない。

「脱成長」と言いながら、社会保障を厚くする方向性は両立しうるのか?

 


③和田静香さんはかなりリベラルな立場に立っておられる。そのことは問題ではないが、「それ以外の価値観」をあまりにも評価しなさすぎではないか?現在の自公政権も「選挙(投票)」によって成立している。今投票していない人が投票するとしても、その人がリベラルに投票するとは限らない。

現在、与党に投票している人たちに対する想像力があまりにも働いていないのではないか?(小川氏がこの点を認識していることは「なぜ君は〜」を観てもわかるんだけど)

 


「③」については、例えば彼女が熱くなったという「住宅問題」に関するパートなんかは、

「そりゃ、あなたにとってはそうかもしれないけど、それってあまりにも自分本位ちゃう?」

って感じがしちゃうんですよね。(付加価値の高い東京の不動産を「社会保障的に」賃貸することができる…っていうのは、東京への過度の人口集中をすすめるか、東京の不動産を共産化するかって話になりかねないんじゃないの?)

もちろん作者の「不安」は理解するし、共感もするんですけど、その「自分の不安」が解決されるだけでいいの?って話です。

「原発」や「沖縄」の話が今ひとつ噛み合わないのはそこらへんもあってかと。

 


もっともこれって作品の性質上はこうならざるを得ないってものあって、そこら辺まで考えるなら、もっと多様な立場の人を集めて議論をすべきなんでしょうね。

その議論の中から採るべき政策を見出していくというか・・・。

まあ、それが「議会」であるべきなんですがw。

 


全体としては面白く読めましたし、「小川淳也」という政治家への興味にもつながりました。(だから「なぜ君は総理大臣になれないか」を観た)

リベラルすぎる和田さんの意見も、「僕と同い年」ってことを考えると、「いやぁ、同じ世代でも、ここまで考え方って差が出てくるんダァ」と感慨深くもありw。

僕自身は僕のスタンスは「中道リベラル」と思ってるんですけど。

「憲法改正」とか「安全保障」「モリカケ」といった切り口から入るんじゃなくて、身近で具体的なところから議論を始めてるのも本書は良いと思います(所々顔を出しますが)。

そういうイデオロギッシュなところに小川さんの優先順位ってないんじゃないの?…って僕自身は勝手に邪推したりもしてるんですけどw。

それでもそこに踏み込まざるを得ないのが、政治家としては苦しいところですが・・・。

(だから「向いてない」と言われちゃう)

 


「おススメ」

というにはバランスが悪すぎる本かもしれません。

田崎史郎さんあたりとの対談・議論なんかをやってくれると、バランスが取れるかな〜w。

そっちが面白そう…って思っちゃうあたり、僕も相当ミギによってきたかな?

 

 

 

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