・ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ 扉子と空白の時
著者:三上延
出版:メディアワークス文庫
7巻で綺麗にまとまったビブリア古書堂シリーズ。
「シーズン2とかやらないといいんだけど…」
と思ってたら、始まっちゃいましたw。
構成としては7巻の後に出た「扉子と不思議な客人たち」に近い形。
シリーズの主人公たちの娘(扉子)が「過去」の主人公たちが遭遇した<事件>を聞いたり、読んだりする形となってます。
ただ本作では「扉子にとっての過去」が、現実の時系列では「未来」になってるんですけどねw。(大きく2部構成の第1部は「2012年」で<過去>ですが、第2部は「2021年」、作中の<現在>は、そこからさらに数年後になっています)
「横溝正史」を題材にしたストーリーはすごく面白かたです。
幻の作品「雪割草」(実際にあります)は知りませんでしたが、「病院坂の首縊りの家」を模した構成や、「雪割草」と「獄門島」を重ね合わせた作品評価(それがストーリーに絡みます)とか、「横溝正史」の作品をめぐる物語が、「家族」の<悲劇>と<崩壊>につながっていく重ね合わせとか…
なかなか凝ってます。
個人的に金田一耕助シリーズで一番好きな「獄門島」が重要なモチーフになってるのも満足感高しw。
未読の「病院坂〜」、読んだほうがいいかなぁ。
一方で、SFになっちゃったw「設定」の方を、今後どうするのかなぁ、とも。
古書を巡る物語なので、多少の<未来>は本質的には関係ないとも言えますが、だからこそ<未来>にする必要性もないし。
以前から言ってる(後書きにも書かれている)「前日譚」の方がしっくりくるような気もするんですがね。
もっとも僕自身はキャラクターたちの「因縁話」にはあんまり興味が湧かなくて、「本を巡る物語」が読めれば、<過去>でも<未来>でも、どっちでもいいっちゃあ、いいんですけどw。
でもまあ、危惧していたよりも楽しめましたし、続刊が出たら、多分読むでしょう。
それはそれで喜ばしいこと、かな?