鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

どう言う方向に進んで行くのか…:読書録「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ」

・ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ  扉子と空白の時

著者:三上延

出版:メディアワークス文庫

f:id:aso4045:20200720112416j:image

 


7巻で綺麗にまとまったビブリア古書堂シリーズ。

「シーズン2とかやらないといいんだけど…」

と思ってたら、始まっちゃいましたw。

 


構成としては7巻の後に出た「扉子と不思議な客人たち」に近い形。

シリーズの主人公たちの娘(扉子)が「過去」の主人公たちが遭遇した<事件>を聞いたり、読んだりする形となってます。

ただ本作では「扉子にとっての過去」が、現実の時系列では「未来」になってるんですけどねw。(大きく2部構成の第1部は「2012年」で<過去>ですが、第2部は「2021年」、作中の<現在>は、そこからさらに数年後になっています)

 


「横溝正史」を題材にしたストーリーはすごく面白かたです。

幻の作品「雪割草」(実際にあります)は知りませんでしたが、「病院坂の首縊りの家」を模した構成や、「雪割草」と「獄門島」を重ね合わせた作品評価(それがストーリーに絡みます)とか、「横溝正史」の作品をめぐる物語が、「家族」の<悲劇>と<崩壊>につながっていく重ね合わせとか…

なかなか凝ってます。

個人的に金田一耕助シリーズで一番好きな「獄門島」が重要なモチーフになってるのも満足感高しw。

未読の「病院坂〜」、読んだほうがいいかなぁ。

 


一方で、SFになっちゃったw「設定」の方を、今後どうするのかなぁ、とも。

古書を巡る物語なので、多少の<未来>は本質的には関係ないとも言えますが、だからこそ<未来>にする必要性もないし。

以前から言ってる(後書きにも書かれている)「前日譚」の方がしっくりくるような気もするんですがね。

もっとも僕自身はキャラクターたちの「因縁話」にはあんまり興味が湧かなくて、「本を巡る物語」が読めれば、<過去>でも<未来>でも、どっちでもいいっちゃあ、いいんですけどw。

 


でもまあ、危惧していたよりも楽しめましたし、続刊が出たら、多分読むでしょう。

それはそれで喜ばしいこと、かな?