鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

2時間35分。でも長さは感じさせません。:映画評「ザ・ファイブ・ブラッズ」

「I’m not your negro」に続いて、「人種差別」について考えている妻の希望でのチョイス。

スパイク・リーの新作で、Netflixオリジナルです。(金曜日公開)

しかし、寝る前に夫婦で観るには重すぎる作品でしたw。

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とは言え、「I’m not your negro」とは違って、しっかりエンタメにはなってるんですけどね。

2時間35分の長丁場ですが、全然長さは感じません。

さすがスパイク・リー。

 


でも、じゃあ漫然と楽しめるか…と言うと、そんなことはない。

 


公民権運動真っ盛りに、並行して行われたベトナム戦争

黒人の参戦率が人種構成比率に比して明らかに高かったこと

戦争の最中での「キング牧師」暗殺

戦後、PTSDに苦しむ退役軍人

国のために戦った黒人への差別etc,etc

 


ベトナム戦争時代と現代を行き来しつつ、ストーリーとしては「宝探し」なんですが、登場人物たちが抱えたものが作品に深い陰影を与えます。

湿っぽくも、おセンチでもないんだけど、何かが胸に突きつけられる感じ。

 


「ブラック・クランズマン」同様、作品は「現在」に向けても刃を突きつけます。

「Black Lives Matter」運動が出てくるのは、現在の動きに合わせて追加撮影したのか、ただの偶然か…。

いずれにせよ、「今」観るのがタイムリーな作品なのは確かか、と。

大手の映画製作会社では企画が通らず、結局Netflixが拾ってくれたようですが、このタイミングで公開になるって言うのは、スパイク・リーにもNetflixにも、ある種の「強運」を感じざるを得ないです。

こう言う作品を作り、公開するってことそのものが強力な主張になりますからね。

 


アクション映画・戦争映画。

それでこのテーマ性。

でもエンタメ。

そして「今」こそを撃ち抜く映画でもある。

 


オススメです。