・グルーバル資本主義vsアメリカ人
著者:篠崎匡
出版:日経BP
コロナ禍からBlack Lives Matter に大揺れしているアメリカ合衆国の現状を再勉強してみようと思って購入した作品。
山本一郎さんのブログからピックアップしましたw。
「日経ビジネス」電子版で連載した作品をまとめたもので、大所高所から「アメリカ」を語ると言うよりも、個人のエピソードに寄り添いつつ、それを描く中から(作者は「B面」と言ってます)、大きな流れを感じさせる…と言う構成になっています。
連載のきっかけはもちろん「トランプ大統領」の誕生なんですが、短期的なその事象だけではなく、30年にわたる歴史の帰着として、それを見ているところに本書の表題の意図があります。
<このタイトルがいいなと思ったのは、現在、至るところで噴き出している問題の多くがグローバル資本主義が浸透した結果だと考えたことによる。一人ひとりの人災が大きく変わったのも、グロバリゼーションの進展や冷戦の終結、新自由主義の浸透や人・モノ・カネの自由化の影響だ。そういった過去30年の変化をグローバル資本主義という言葉に込めた。>
本書で取り上げられているテーマはこんな感じです。
国境とそこでの鬩ぎ合い(自衛団、密入国仲介人(スマグラー))
銃規制論議
ドラッグと貧困
公教育
外国籍兵士と国外追放
グローバル製造業
アメリカンドリームの底辺
再生可能エネルギーと過疎地
宗教
先住民
シリコンバレーの格差問題
意外に「人種差別」は強く表には出てないんですよね。
それは明言しなくともベースにあるとも言えるし、グローバル資本主義とは違う次元だからと言うのもあったのかも。
ただ今の状況を考えると、これらに先んじて社会が抱えていた「長い宿題」が噴出したのが、「今」と言えるのかもしれません。
ポリティカル・コレクトには確かに行き過ぎの面があるし、課題も多い。
でもそれに代わる「公正な思想」を打ち出すことができなかったことで、ある種の揺り戻しもきてるんじゃないかな、と言うのが僕の印象です。
これからどうなるかは、誰にもわかんないでしょうが。
各章には取材時に撮った動画へ誘導するQRコードもあります。
全部見る時間も気力もないんでw、一部だけ見たんですが(10分くらいです)、やっぱり映像があるとイメージがクリアになりますね。
その点も含めて、「今のアメリカ」のイメージを掴むのにすごく参考になる一冊だと思います。
山本一郎さん、ありがとうw。