・殺されても聞く 日本を震撼させた核心的質問30
著者:田原総一朗
出版:朝日新書(Kindle版)
85歳。
いやぁ、お元気ですなぁ。
少し前に「創価学会」に関する著作を読みましたが、「このタイミングで公明党を支える組織に関する作品を出す」と言う意欲と戦略性に感心させられた覚えがあります。
本書はもうちょい気楽な作品で、過去に自分が接してきた政治家・経済人等との交流やインタビューの中から、エポック的なものをピックアップして列挙したもの。
「政治家」に関しては突っ込んだやり取りが推測されるけど、それ以外の方はちょっと「薄い」印象。でもこれは田原さんの活動の重点から仕方がないでしょう。
(それでも「麻原彰晃」の章を読んでて、まさに取り上げられている「朝生」を見てたことを思い出しました。
「愛があればこそ宗教」と説くコメンテーター(残間里江子さんだったかなぁ)に対して、スタンスの違う宗教観をぶつけていた姿が、「怖さと真摯さ」において印象的でした)
田原さんのスタンスやこういう形での「思い出話」は批判も当然あるでしょう。
僕も読みながら、ちょっとイラっとすることもあったかなw。
・密室での対話で「「実はこうだった」と言われても検証しようがない
・自慢話を聞かされるようで…。(三人の総理の首を…とかのあたり)
・田原さんに言ったことが相手の本心とは限らない
etc,etc
でも長く<政治>という舞台で、「批判者」として「役者」たちに対峙してきた経験と、そこで培われた知見には、一聴の価値は、やはりあると思います。
(その「舞台」の背景には<敗戦>があり、役者も批判者も観客もそのことを強く意識していた。そのことが本書ではよくわかります。
その背景を共有できなくなりつつある現在、何を引き継ぎ、何を変えていくのか…が「今」の課題だと僕は認識しています)
今以て柔軟な精神を持ち続けているように見受けられるところも、見習うべきところかな、と。
良くも悪くも、
「こういうジャーナリストは、もう出てこないだろうなぁ」
それが寂しく、ある意味では恐ろしくもあります。
「時代が変わる」ってのは、そういうことなんでしょうけどね。