鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

むかし話にも意義はある:読書録「殺されても聞く」

・殺されても聞く  日本を震撼させた核心的質問30

著者:田原総一朗

出版:朝日新書(Kindle版)

f:id:aso4045:20190604120442j:image


85歳。

いやぁ、お元気ですなぁ。

少し前に「創価学会」に関する著作を読みましたが、「このタイミングで公明党を支える組織に関する作品を出す」と言う意欲と戦略性に感心させられた覚えがあります。


本書はもうちょい気楽な作品で、過去に自分が接してきた政治家・経済人等との交流やインタビューの中から、エポック的なものをピックアップして列挙したもの。

「政治家」に関しては突っ込んだやり取りが推測されるけど、それ以外の方はちょっと「薄い」印象。でもこれは田原さんの活動の重点から仕方がないでしょう。

(それでも「麻原彰晃」の章を読んでて、まさに取り上げられている「朝生」を見てたことを思い出しました。

「愛があればこそ宗教」と説くコメンテーター(残間里江子さんだったかなぁ)に対して、スタンスの違う宗教観をぶつけていた姿が、「怖さと真摯さ」において印象的でした)


田原さんのスタンスやこういう形での「思い出話」は批判も当然あるでしょう。

僕も読みながら、ちょっとイラっとすることもあったかなw。


・密室での対話で「「実はこうだった」と言われても検証しようがない

・自慢話を聞かされるようで…。(三人の総理の首を…とかのあたり)

・田原さんに言ったことが相手の本心とは限らない

etc,etc


でも長く<政治>という舞台で、「批判者」として「役者」たちに対峙してきた経験と、そこで培われた知見には、一聴の価値は、やはりあると思います。

(その「舞台」の背景には<敗戦>があり、役者も批判者も観客もそのことを強く意識していた。そのことが本書ではよくわかります。

その背景を共有できなくなりつつある現在、何を引き継ぎ、何を変えていくのか…が「今」の課題だと僕は認識しています)


今以て柔軟な精神を持ち続けているように見受けられるところも、見習うべきところかな、と。


良くも悪くも、

「こういうジャーナリストは、もう出てこないだろうなぁ」

それが寂しく、ある意味では恐ろしくもあります。

「時代が変わる」ってのは、そういうことなんでしょうけどね。

f:id:aso4045:20190604120512j:image