・「創価学会」
著者:田原総一朗
出版:毎日新聞出版
基本的には「創価学会」の歴史を追いながら、「組織」という点に焦点を当てつつ、教義・運動の変遷を概覧した内容になっています。
スタンスとしては「中道やや学会寄り」かな?(巻末には原田会長のインタビューが収められています)
あまた「学会批判本」はありますが(その嚆矢が藤原弘達氏だったのを思い出しました)、インナーじゃない立場からのこういう本はあんまりないんじゃないか、と。そういう意味では個人的には「丁度いい塩梅」の作品でした。
現在に至る学会の流れ
日蓮正宗との関係(第一次・第二次宗門問題)と友人葬
祈伏運動の経緯(他宗教批判の経緯)
海外布教の概要
日常の活動(特に婦人部の存在)
公明党との関係(政教分離のとらえ方)
池田大作名誉会長の存在感
・・・僕としてはここら辺のところに関して知識を得ることができたのがありがたかったです。
本書を田原氏が書いた動機としては、もちろん与党を構成する公明党を支える学会に関してまとめて置くべきと考えたからってのがあるでしょうが、
<山口は、私に第9条に触れるような憲法改正は認めないと言った。いわば、自民党のブレーキ役を演じているのである。公明党がこの姿勢で頑張るかぎり、私は公明党を支持する。>
(*山口=山口那津男・公明党代表)
というスタンスから、公明党を支える「創価学会」に対する社会のネガティブイメージを緩和したいという思いがあったのではないか…と個人的には推測しております。
(佐藤優氏あたりもそうかな?)
まあでも読み終えて考えさせられるのは、
「池田大作名誉会長が亡き後、どうなるか?」
ですけどね。
もちろん、学会としても対応はしているし、10年以降、池田名誉会長が公式の場に出てこない中で、組織運営をしてきた実績もしっかりあるのですが。
良くも悪くも、池田大作氏の存在感は大きく、学会への評価も、
「池田大作氏をどう評価するか」
に、かなり左右されるとこがあるってのはリアルなトコ。
それを判断するだけの知識は僕にはありませんし、本書を読んでもなお…です。
ま、敢えてそうする必要もないですし。