鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

アイアンマンはドクター・ドリトルになれるか?:映画評「ドクター・ドリトル」

ロバート・ダウニーJr.が「ドクター・ドリトル」を演じます。

まあ、これに乗れるかどうかってのが、まずありますかね。

ドクター・ドリトル。

イメージは「ハンプティー・ダンプティ」腹ですからw。

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コロナ絡みでの公開になってしまったので、公開日が変更になったりして、なかなか災難な作品だったようですが、それとは関係なく、評判そのものは今ひとつ振るわなかった模様。

僕の感想も、残念ながら…。

いや、CGでの動物達はリアルで楽しませてくれるんですけどね。

しかしまあ、ここら辺は実写版「ライオンキング」以降は、「当たり前」な感じもありますw。

 

 

ロバート・ダウニーJr.は好きな役者ですし、演技も上手いと思います。

ただ一方で誰を演っても「ロバート・ダウニーJr.」が透けて見えるというか…。

シャーロック・ホームズ然り、トニー・スターク(アイアンマン)然り、そしてドクター・ドリトルも。

 

 

でも「ドクター・ドリトル」ってそんなキャラだっけ?

 

 

そこで僕は引っかかってしまって、作品に入りきれませんでした。

で、気になっちゃうと、脚本とか、演出のアレやコレやも気になっちゃって。

「アイアンマン」にとりあえずピリオドを打って、「さて新しいキャラに」って感じだったんでしょうかね、ロバート・ダウニーJr.。

あんまり上手くいったとは思えないなぁ。

 

 

子供向け映画なのは間違いなし。

でも「子供向け」だからといって、これでいいかってのはチョット違うようにも思います。

そういう括りでやるには、ロバート・ダウニーJr.のキャラは複雑すぎますってw。

 

 

#映画評

#ドクタードリトル

#ロバート_ダウニー_jr.

これはもう、「大画面」で観ないと…:映画評「ワンダーウーマン1984」

SFアクション大作の場合、大概はそうなんですが、本作は「特に」。

これを電車の移動中のiPhoneで観た僕の判断が間違ってましたw。

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「ワンダーウーマン」第2作。

なんですが、ガル・ガドットの「ワンダーウーマン」は「ジャスティス・リーグ」にも登場してるので、「2作目」ってよりは、「お馴染み」な印象。

「ジャスティス・リーグ」よりも単独シリーズの方は「ワンダーウーマン」の<弱さ>(人間らしさ)みたいなところも描こうとしてる辺りが特徴ですかね。

本作は特にそんな印象があって、「願い(欲望)と代償」と言うテーマそのものがワンダーウーマンの<弱さ>を突いて来ますし、ラストも「アクション大作」にしてはひねった展開になっています。

 

ただまあ、ここら辺が、個人的には「雑」な印象にも繋がってるんですよね。

で、大画面だったら、迫力あるアクションや、スペクタクルな絵や、圧倒するシチュエーションなんかが、この「雑さ」にリアリティを与えてくれたかもしれないんですが、如何せんiPhoneの画面では…。

これは製作者サイドが悪いんじゃなくて、観る側の問題。

ある種、「雑」にならざるを得ないテーマを、それでも描きたいということで、こういうスタイルを製作者サイドは選んでるんでしょうからね。

 

まあ、最低でもテレビ画面(できれば大型)での視聴をお勧めします。

そうすると、派手なアクションも、絵も、展開も楽しめると思います。

その上で、「願いと代償」の物語に感情移入できれば、本作は「成功」でしょう。

 

<以下、若干のネタバレを含みます。観る予定がある方は読まないで下さい。>

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前作ではラストに「神的存在」とのド派手なバトルが用意されていました、

本作についても、そう言う展開もあり得たと思うんですよ。

マックスが「願い」を手放した瞬間に、裏で糸を引いてた「<偽り>の神」が降臨。でもって、ワンダーウーマンと大バトル…とかw。

 

ただそうしなかったのは、この「願い(欲望)と代償」と言うテーマを製作者サイドが大切に思ってたからかもしれません。

そこには「現代」に通じる<何か>もあるように思いますし。(80年代と言う時代背景にも)

単に製作費の問題かもしれませんがw。

 

 

しかし直前に観たマーベルの「ワンダヴィジョン」も、失った最も大切なものを取り返し/自ら手放す物語でした。

何か、そういう時代的な雰囲気でもあるんでしょうか?

 

ちょっと不思議にも感じました。

考え過ぎ?w

 

 

#映画評

#WW84

#ワンダーウーマン1984

娘「感動とかはしなかったけど、<圧>がモノ凄かった」:読書録「推し、燃ゆ」

・推し、燃ゆ

著者:宇佐美りん

出版:河出書房新社

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この題名のインパクトで、

「読んでみるかな〜、どうしようかな〜」

と悩んでたんですが、娘が「読みたい」と言ったので、購入。(結局、妻も息子も「読みたい」と言ってます)

 

 

で、冒頭に記したのが、娘の感想です。

読み終えて、僕も「なるほど、そんな感じ」。

 

読み始めの頃は、

「なんかシチュエーションも分かりにくいし、改行も少なくて、読みづらいな」

って印象だったんですが、読み進めるうちにそういうのも気にならなくなって、作品のノリに引っ張られて、一気に読んでしまいました。

この調子で何百ページもやられたらキツいですが、120ページくらいですからね。

ちょうどいい感じです。

 

 

作品としてはどうでしょう。

このスタイルを読む作品?

テーマとか、あまり気にしなくていいのかも。

 

「推し」を解釈することが、生きづらい「自分」を解釈することに繋がり、「推し」を失うことで自分自身を「解釈」することに向き合う

 

…みたいな「らしい」ことが言えるかもしれませんが、あんまり意味もないような気もします。

主人公の語り/解釈を浴びながら読み、その<圧>を感じる。

それでいいんじゃないか、と。

 

 

個人的にはラストの「洗濯物のオチ」はどうだろって気もしなくもないんですけど、それもどうこう言うこっちゃないかな。

確かに<今>を時代背景として登場した物語だと思います。

 

 

10年経ったら、こう言うのって、どうなってんのかな〜。

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#読書感想文

#推し燃ゆ

#宇佐美りん

#芥川賞

さすがにマーベル作品に関して事前知識がなかったら、訳分からんでしょうね:ドラマ評「ワンダヴィジョン」

「ディズニー+」で毎週公開されていた「ワンダヴィジョン」が金曜日で最終回(全9回)。

「どういうオチをつけるのやら?」

と思ってましたが、それなりに決着がつきました。

ま、もちろんマーベルですから、一部クリフハンガーにはなってるんですが…。

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50年代のシットコム番組を模したスタートから、一話ごとに新しい年代のシットコムスタイルでのストーリー展開になりつつ、裏にある壮大な「仕組み」が明かされていく

 

って構図なんですが、この「仕組み」の方はまあ、早い段階から予想がつくというか…。

それはそれで楽しみつつ、他のマーベル作品の登場人物とのクロスオーバーを驚き、楽しむ…って展開になってます。

…でも、この「他のマーベル作品の登場人物」ってのが微妙にメインキャストから外れてるんですよねw。

僕は割とマーベル映画は見てるんですが、ぶっちゃけ言われて「あ〜、そうか」ってなるくらい。

そりゃ、アイアンマンとかドクター・ストレンジ、スパイダーマン級のキャラが出て来たらもっと分かりやすいんでしょうけど。

さすがにそうなったら製作費が追っつかないかw。

 

 

ストーリーとしては、ある意味「悲劇」的展開とも言えるんですが、ヒーローものとしては「こうならざるを得ない」ってオチでしょうか。

 

全9話。

 

まあ、楽しませてもらいました。

でも、最低でも「アベンジャーズ」シリーズは観てないと、「よ〜わからん」でしょうね〜。

特にビジュアル的に「う〜ん…」のヴィジョンに感情移入するためにはw。

 

 

<以下、若干ネタバレを含みます。観る予定のある方は読まないでください>

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「スカーレット・ウィッチ誕生!」

 

ってのが「ワンダヴィジョン」のメインテーマでしょう、結局は。

ただマーベルコミックを読んでたら、「おお!」ってなるのかもしれませんが、そうじゃないと、「なるほど、そうなんですか…」くらいのノリ。

僕は映画は見てますが、コミックは読んでないので、正直いうと最終回の盛り上がりには若干の肩透かしを感じもしました。

ストーリー展開やアクション、特殊効果はかなり派手で、「おお〜」ってなるんですけど、最大の盛り上がりが、

「スカーレット・ウィッチ誕生!」

なもんでw。

 

まあ仕方ないといえば、仕方ない。

「アベンジャーズ/ エンドゲーム」以降の新しいフェーズではスカーレット・ウィッチは重要な役割を演じる…ということなんでしょう。

そのネタフリが、このシリーズの役目と言えば、役目。

どこまで付き合いますかねぇ。

マーベル・シネマティック・ユニバース。

 

 

しかしやっぱりラストにドクター・ストレンジ、最低でもニック・フューリーくらいはご登場願いたかったですな。

そしたら、スッキリと、

「おお〜!」

ってなったのにw

お二人の「働き方」に関する考え方は至極真っ当ですが、日本の組織では「外れ値」:読書録「あなたの会社、その働き方は幸せですか?」

・あなたの会社、その働き方は幸せですか?

著者:上野千鶴子、出口治明

出版:祥伝社

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コロナ禍で、その「外れ値」が少し中央値によって来てるし、森発言以降の世論の動きは「日本における<女性>の置かれている状況」を浮き彫りにしています。

さて、アフター・コロナで、これがどうなるか。

「元の木阿弥」

にならないことを祈ります。

 


本書を読む気になったのは、本書を踏まえた上野さんのインタビュー記事を読んで、「上野さんの組織人としての働き方」に興味を覚えたことと、出口さんが闘病生活に入っていることを知ったから。

 

<上野さんのインタビュー記事>
https://www.businessinsider.jp/amp/post-229894

 

京大の同期(お互いに知りはしなかったよう)の語り合いは、組織人として「ある程度成功」しながらも、結局は「メインストリーム」になれなかった二人による「日本の働き方」の再確認…って内容になってます。

 


30年ほど冴えないサラリーマンをやってる僕の目から見ても、お二人の言ってることは、至極合理的で「真っ当」。

でも「だからこそ」メインストリームになれなかった理由もわかるような気がします。

その結果が今の日本のポジション(経済的にも、社会的にも、先進国の枠組みから滑り落ちつつある)ですから、変わっていくことを僕も望んでいるし、末端ではそこに取り組もうとは思ってるんですけどね。

しかし、コレが中々…。

 


本としては、二人の対談部分も興味深いんですが、それぞれが自分の「働き方」を振り返って語っているパートが特に面白かったです。

まあ、出口さんの話は他でも聞いたことがあるんですけど、上野さんのこういう話は僕は初めてでしたので。

「研究ではお金は稼げない。自分の給料は<教育>でもらっているという認識があったので、学生を教育することには力を入れた」ってのは意外な感じもしました。

 


個人的には上野さんは「研究者」というより「活動家」のイメージが強くて、そのラインでの「後継者」を作りきれてないところが「どうかな?」と思ってたんです。

でも案外に「教育者」として力を入れたところから「新しい人材」が出てくるのかもしれません。

今後、「上野ゼミ出身」「上野さんに教えられた」って人材がメインストリームに出てくるかな?(現在、目立つところでは古市憲寿さんがそうですかね)

 


なんだかんだ言いながら「日本での働き方」について議論がされつつあるのが<今現在>なのは確かでしょう。

その中でどういう方向性が出てくるのか。

それを考える上で、本書は参考になるところが少なくないです。

耳が痛い部分も含めて、

「老人の繰り言」

と敬遠するのは惜しいか、と。

 


#読書感想文

#上野千鶴子

#出口治明

#あなたの会社その働き方は幸せですか

こういうのを作れるのがNetflixなんですかね:映画評「Mank/マンク」

「市民ケーン」の共同脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツ(マンク)を主人公に、「市民ケーン」の製作の裏側を、ハースト、ハーストの愛人(マリオン・デイヴィス)、オーソン・ウエルズとの複雑な関係・軋轢を軸に描いた作品。

映画「市民ケーン」のスタイルをかり、当時画期的と言われた技術も駆使しながら、「市民ケーン」を語りつつ、現代性もしっかりあるという、意欲的な作品になってます。

さすがですな、デヴィッド・フィンチャー。

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基本的構図は「オルガンを弾く猿」であるマンクが、「市民ケーン」という作品で自分をコケにしたハーストに一矢報いる…って話なんですよね。

「市民ケーン」は「映画史上最高の傑作」とまで言われるようになったんですから、その意図は見事に達せられたともいえます。

 

 

 

そういうストレートな話を、凝った構成と革新的な技術、素晴らしい演技で彩った…ってだけじゃなくて、その裏に複雑な人間関係と機微を抱えてるってのもあります。

マンクとハースト、マリオンの関係って、単に「道化師と王」ではなく、確かにそこには「友情」に近しいものがあるんですよね。

特にマリオンとマンクには「市民ケーン」の脚本が出来上がってもなお、そういう雰囲気があります。

 


「市民ケーン」自体、

「とんでもない暴君が転落した。自業自得だ、ザマーミロ」

って感じじゃなくて、ケーンへ感情移入し、一片の哀しみを共有できるような流れになっています。

そのことはマンクのハースト、マリオンへの複雑な感情の現れであり、それを本作でも描いているのではないか…。

 


まあ、これは僕の勝手な感想であって、作中ではそんな風に言及はされてないんですけどね。

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いやはや実にレベルの高い作品ではあります。

欠点といえば、

「43歳」のマンクを演じるのはゲイリー・オールドマンは老け役メイク過ぎるwってのと(演技は素晴らしい)、

マンクとハースト/マリオンの関係に焦点が当たりすぎてて、もう一つの軋轢であるマンク/ウエルズのトラブルがあまり描かれない割には、ラストが二人の「対決」になってる収まりの悪さ

くらいじゃないでしょうか。

 


エンタメ性という意味では「市民ケーン」の視聴を含め、「事前勉強」が必要ってのもありますかね。

<権力者の横暴(社会主義者の弾圧)><フェイクニュースによる扇動>といった「現代」にも通じるテーマに関しては当時の政治運動に対する基礎知識が必要です。

そこら辺はこの記事が参考になります。

 


<『Mank/マンク』を観る前に知っておきたい7つのこと >

 


https://www.cinematoday.jp/page/A0007589

 

 

 

こういう作品、やっぱ劇場公開をベースに考えると、なかなか製作には躊躇しますわね。

今更、権力者側からの妨害工作とかはないでしょうけどw、商売になるかどうかは、ナカナカ読めないですから。(事前知識が必要な映画ですし)

そういう意味じゃNetflixらしい作品。

いよいよ「役割分担」が進んでいく感じだな〜。

 


娯楽大作:劇場公開

文芸作品:ストリーミング配信

 


それが映画業界全体のとっていいのかどうかは、なんとも言えませんが。

ま、僕には「ありがたい」んですけどw。

 

 

 

 

このスタイルは面白い:第21回村上RADIO

もう「21回」。

年越しの放送があって、バレンタインデーのストリーミング配信もあって、なんか特別感がどんどんなくなってきてるような…。

ま、いいんですけどw。

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今回は「セルフカバー」特集で、最初にオリジナルを掛けて、途中からセルフカバーに…というスタイル。

なかなか面白いし、趣向も分かりやすい。

音楽的にどうかってのは別ですが。

 


あ、例によって丁寧な書き起こしはこちらです。

 

<番組HP)>

https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

(ユニクロとのコラボTシャツ。

ちょっと欲しいかもw)

 

 

個人的に面白かったのはセルメンの「マシュケナダ」ですかね。装い新たなんだけど、本質のノー天気さが変わってなくて。

まあ、好みはあるでしょうが、大体はセルフカバーよりオリジナルの方が僕は好きです。ここでピックアップされてるのは、さすがにどっちも聴かせますが、まあだいたいは。

スティングみたいに、「アップデートしたい」ってミュージシャンサイドの気持ちもわかるんですけど。

 


ちなみに「セルフ」じゃない「カバー」は僕は好きなんですよ。(だからオリジナル信者じゃ全然ないです)

でも妻は「嫌い」なんで、最近あんまり車じゃかけないようにしてますw。