・ぼくの大林宣彦クロニクル
著者:森泉岳土
出版:光文社(Kindle版)
大林宣彦監督の映画を映画館で見たのは「なごり雪」(2002年公開)が最後。
制作が一番新しい作品は「転校生 さよならあなた」(2007年公開)をレンタルで観たのが最後ですね。
15年くらい新しい作品は観てないんだな〜。(その間に、「転校生」はDVDで1、2回見直してます)
なんだろう。
特に最近の「戦争」をテーマに盛り込んだ作品群はちょっと敬遠気味でした。
上映時間、長いしw。
本作は大林監督の娘さん(チグミさん)と結婚した漫画家の森泉岳土さんが、「家族」としての大林宣彦監督&一家の様子を綴ったエッセイです。
森泉さんがチグミさんと結婚したのは「2009年」。
それから大林監督が亡くなる「2020年」までに話だから、僕が大林作品を見なくなってた時期にほぼ重なりますかね。
まあ、映画は観てなくても、ネット記事とかはフォローしてたし、何冊か本も読ませて頂いていたので、監督の様子はそれなりに分かってはいたんですが。
…というか、変わらないんですよね、大林監督はw。
読んでて、相変わらずのバイタリティーと、なんだか不思議な「縁」の連続に、懐かしい気分にもなりました。
まあ、それを「家族」として身近に観たり感じたりするのは、楽しくもあるけど、ちょっと大変あと頃もあるんじゃないかとは思ったりもしますが。
僕が作品を追いかけていた頃と違うのは、「戦争」を中心としたテーマに対する意識が強く全面に出るようになってる…ってとこかもしれません。
そのことは監督の言葉の端々に窺えます。
それが素晴らしい。
…けど、ちょっとシンドくて敬遠しちゃったんだけど。
<大林監督の晩年の作品はときに「反戦映画」と呼ばれた。しかし大林監督自身は自分の映画を「戦争はいやだ」という実体験から「厭戦映画」と呼んでいて、正義も叫ばなかった。
「戦争を止めるには、戦争とおなじくらいの力がいるんだよ。それは正義じゃなくて、人間の正気。もしも政治家や経済人が正義を叫んだら疑ったほうがいい。正義じゃなくて、正気を求める。それが表現者のやることなの」
大林監督は生前よくそう言っていた。>
そうかぁ。もう監督はいないんだな。
本書を読んで、そんな気持ちがポトンと落ちてきて、ちょっと寂しい気分になりました。
上手い監督はどんどん出てきてるし、それはそれで嬉しいことなんだけど、こんな変な監督はもういないよな〜。
作品は見てなかったけど、
「あ〜、やってるな〜」
と思いながら横目で眺めるのは、それはそれで僕にとって何らかの「確認作業」でもあったんだな、と。
8月がやってきます。
今年の夏は、何か大林監督の最近の作品を観てみようかな。
いや、その前に「転校生」の中の<永遠の夏>をもう一回…w.
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