・スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険
著者:谷川嘉浩 ナレーター:楯野煌人
出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン(audible版)
ポップな表紙が目について、ついついDLして聴いてしまいました。
京大出身で、プロとして「哲学者」をされている方が、現代社会で「哲学」することについて語った作品…と言っていいのかしらん。
1990年生まれですからね。
随分とお若い。(僕から見れば)
「スマホ時代の哲学」という題名の通り、誰もがスマホを通じてインターネットやSNSに「常時接続」している時代に、「哲学」が大切に考える「孤独」というものをどうやって確保したらいいのか…ということが主題になっています。
好感が持てるのは、
「だからスマホを手放そう!」
「デジタル・デトックスだ!」
って話にはならず、
「手放すのは無理。だけどなんとか折り合いをつけながら、<孤独>な時間を設けれないかな」
くらいのスタンスになってるところ。
「無理」だし、そういう強制的な「スタンス」には、それはそれでどっか歪なところあるような気が、僕はするんですよね(偏見?)。
もっともそういうスタンスなので、作者の話はスッキリはしません。
そのモヤモヤが重要…ってのが主張であったりもするのですが、スッキリしないのは事実w。
でもその「行ったり来たり」が本書の読みどころかも。
それが哲学的な変に小難しい単語や文章で書かれず、とにかく分かりやすい平易な言葉で語ろうとしてるところがいいです。
哲学者だけじゃなくて、色々なポップカルチャーを事例に出してるあたりも個人的な興味を刺激されます。
(…とはいえ、ちょっと「エヴァ」にはハマりすぎかも。
しかもTV版の方だし。
これはせめて映画版の方で…w)
作者の論理立ては本書を読んで(聴いて)もらうのが良いでしょう。(色んなところにリーチしてる作品なので、全体をまとめるのは面倒だし、そのこと自体がポイント外しちゃう気がするw)
僕としては、
「<孤独>な時間を持って、自分自身と向き合い、考えを深める」
「しかし<自分>だけに固執するのではなく、外部にも開かれた<学ぶ>スタンスも大切にする」
「そのスタンスを確立させていくための<趣味>を持つ」
…みたいなところで今のところは整理しています。
また違うタイミングで読んだら、また違うんでしょうけどね。
でまあ、どんな感じで<趣味>を組み立てようかなぁ…とか考えてるところ。(ここの<趣味>も、ちょっと独特の意味合いはあるんですが)
…てなこと言いながら、この本を僕はaudibleで通勤電車の中で聴いたんですよね。
そういう「ながら」的なスタンスは、本書が言ってることとは齟齬があるかも。
まあでも、そういう「出会い」だったんですよ。この本とはw。
(ナレーターのおかげか、電車の中で「話し」を聴くような感じで流すのが気持ち良い作品でした。
いいのかどうか、わかんないけど)
(本書の中では「自己啓発」や「新自由主義」に対する結構厳しい論調があります。
出版が「ディスカヴァー・トゥエンティワン」なんだけど、あそこってその手の本を結構出してなかったっけ?
そこんとこが最後の引っかかったりしましたw)
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