鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「リベラルアーツの学び方」

・リベラルアーツの学び方
著者:瀬木比呂志
出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン(kindle版)

リベラルアーツの学び方 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

リベラルアーツの学び方 (ディスカヴァー・レボリューションズ)


元・裁判官で、現在の日本の法曹界に対して批判的なスタンスを取り、作品も出版している作者が、自身を振り返って「リベラルアーツ」について具体的に論じた作品。


作者は「プラグマティズム」を標榜しており、本書もその方法論で書かれています。
したがって、もちろん「リベラルアーツとは」といった概念的な部分もあるんですが、それ以上に具体的な書物や芸術、音楽等を取り上げながら、個々について解説しているパーツが充実してて(第3部)、ここが「読みどころ」といってもいいと思います(第1部、第2部も面白く読めるし、基本的には「賛成」ですがね)。
ロックやら漫画、映画にまで作者の経験と知識は広がっていて、僕自身の経験や知識と重ね合わせることで、思いのほか楽しい時間を過ごすことができました。
言い換えれば、これだけの充実した知見を僕自身が持つことができるのか・・・ってことでもあるんですがね。
(ま、とてもじゃないですが、無理です)


作者は現代においては「自然科学」がかなりの具合で人間と世界の成り立ちを解明しつつあり、したがって「リベラルアーツ」の重要な部分はそこに立脚すべきとの立場に立っています。
「裁判官」といえば、バリバリの「文系」ですが、このスタンスはなかなか面白くて、紹介されている書物もその系統のものが多くリストアップされています。
個人的にはココが弱いところですね。
今更ながら、ちょっと読んでみようかなと、ピックアップしたりしてw。
いずれにせよ、こういう理系的センスが重要だっていうのは、僕も賛同するところです。(だからって「文系をなくす」ってのは「?」ですが。むしろこういう「区分」があるところに課題を感じます)


一方、「芸術」系のところ、特に「映画」「音楽」「漫画」のあたりは、
「まあ『平均点』かなぁ」
って感想w。
勉学に多くの時間を費やした「秀才」としては相当に頑張ってるとは思いますが、もっともっと「深い」世界があるんじゃないかなぁと。
特に「映画」「漫画」にはそう突っ込みたくなりました。


そこまで行っちゃったら、「リベラルアーツ」にならない?


あ、まあ確かにそうかもしれませんねw。


もし僕に高校生や大学生の子供がいたら、本書を読むように勧めたかもしれません。
それで本人がどう思うかは、本人次第。
「リベラルアーツ」がその「人物」の根幹を築き上げるものだとしたら、「与える」ものではないでしょうからね。
でも未知の世界に足を進めていくには、何らかの「指針」が必要。
その「指針」としては本書は結構良いもんじゃないかと思いますよ。


僕もそろそろ我が身を振り返って、僕自身を築き上げているモノたちについて整理してみるか・・・
って、そんな暇があったら、もっと色んな本を読みたいし、映画や音楽を見たり聞いたりしたいですw。
そういう意味じゃ、いまだ「途上」ですわ。私も。