・成熟スイッチ
著者:林真理子
出版:講談社現代新書
この本を抜粋した記事を読んで、
「ほう、林真理子さんの<自己分析>本かぁ」
と思って買ってみたんですが、違いましたw。
林真理子が「私、権力側のオバさんになってる」「保守化している」と気づいたときにヒシヒシと思ったこと(林 真理子) | 現代新書 | 講談社(1/5)
https://gendai.media/articles/-/102084
確かにこの内容は本書にもあるのですが、それは章間のエッセイ部分。
全体的には「保守側」「権威側」になった自分から見て、そういうサイドにどういう人がなるのか、そういう人たちとの付き合い方はどうあるべきか…と言ったことが書かれています。
いやまあ、ちゃんと帯に「人生論新書」って謳われてるんですから、これは勝手に誤解した僕の方が悪いんですけどw。
ただ「じゃあ、面白くなかったか」と言われると、「いや、面白かったし、結構ためになるかも」というのが感想。
<大人>と言っても一様じゃなくて、「保守化」「権威化」した人もいれば、「サブカル」サイドに立ち続ける人もいるのは林さんのいう通り。
その差が「センス」なのかどうかは分かりませんが、本書が「<大人>になるためには」って一律に押し付ける内容じゃないのは確かです。
「保守化・権威化するってのも、悪くはないですよ」「そういう人たちの世界はそれはそれで豊かですよ」
と自分や周りの人たちの例を挙げつつ、
「でもそういう人になるにはこういうことに気をつけなきゃ」
「そういう人たちと付き合っていくにはこういうことに気を配った方がいいですよ」
っていうのが本書です。
まあ、林さんほど「功なり遂げる」「大成功する」ってのは無理としても、センスのない<大人>が保守化・権威化してしまう面はあるし(その権威はちっぽけなもんですが)、そういう人が「サブカル」感覚で振る舞うことの歪さも感じるところではあります(自戒をこめて)。
こういう本を書いている林さんご自身、それでも「サブカル」的な立ち位置が抜けきれないところもあって(ご本人がおっしゃる通り、そこから出てきた人でもありますし)そこらへんが違和感や不協和音になってるところがあるんじゃないかとも思いますけどね。
ここは「自己認識」だけでどうなるもんじゃなくて、「社会的評価」もあるので、林さんを批判してどうなるもんでもない部分もありますが。
年上の方で権威や権力を持っている人と付き合っていく上で、
「確かにこういう振る舞いや、考え方は重要だな」
って思うところはありました。
素直に読むかどうかはともかくw、20代・30代でこういう振る舞いを身につけるのは悪くはない。
ただ「そういう人間」に自分がなるかどうかは考えた方がいいかも。
なんか本書も読み方によっては「<林真理子>取扱注意書」みたいになっちゃってますからね。
(絶対ないけど)今後、林さんとお付き合いすることがあるとしたら、注意事項が満載ですw。
僕自身はどうかなぁ。
保守化はしてるけど、権威も権力もない。
サブカルのセンスはないけど、興味の重心はそちらの方にある。
…そういう人間が歳を取っても見苦しくないように振る舞うにはどうしたらいいんでしょう?
「そんなこと考える必要もなくなって来たんじゃない?」
半ばそんな諦めもあるんですけどw。
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