・ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた
著者:鈴木綾
出版:幻冬舎
日本人じゃない30代の女性が、日本に留学し、6年間東京で働いたのち、渡英。グローバル企業に勤務しつつ、ロンドンで生活している日常のあれこれや、思うことなんかを記したエッセイ。
日本人名ですが、これはペンネームで、多分中華系の女性なのではないか…と。
<日本が好きだった。東京で6年間働いた。
だけど、モラハラ、セクハラ、息苦しくて限界に。
脱出して、ロンドンにたどり着いたー。>
<フェミニズムの生まれた国でも、
若い女は便利屋扱いされるんだよ!>(帯より)
…とくると、「日本もダメだけど、ロンドンだって同じようなもん」ってなノリになるのかと思いそうですが、確かにそれなりの「生きづらさ」はそれなりにあるにせよ、それでも「生きづらさ」っていう点では、ロンドンの方がず〜っとマシだそうです。
鈴木さんは基本的には今も「日本大好き」なんですけどね。
本書では「日本で女性が生きていく生きづらさ」に言及しつつ、「ロンドンにもある生きづらさ」を指摘し、それでもそこで活躍する女性たちの姿や、そこにある連帯を描いています。
そのままで言ったら、グローバルの活躍する女性たちのキラキラに目が眩んだかもしれませんがw、そこにやってきたのが「新型コロナ」。
そこからエッセイは内面的な方向や文化的な側面への言及が増えていきます。
ロンドンの「ロックダウン」は、ガチな外出制限が課せられてましたからね。
世界を飛び回って活躍する〜なんて話にはならなくなるわけです。
まあ、ここら辺があったから、「50すぎのガチでドメに過ごしてきた日本人のオッサン」(う〜ん、なんか鈴木さんの仮想敵みたいな特徴やなw)にも面白く読めたのかなぁ。
<この本は特に同世代の(私より若くてもいい!)女性たちに読んでもらいたい。>
って、作者のターゲットは真逆なんですけど。
(作者は「フェミニスト」でかなり「リベラル」で「グローバリスト」。僕からすると相当トンがったキャラですが、なんか嫌いになれないです。人徳かなぁw)
ロンドンにはバリバリ左の「ブレイディみかこ」さんもいらっしゃいます。
かなり立ち位置は違うと思うんですが、それぞれが描くロンドンの姿、そこから投射される「日本」の課題ってのは、それぞれ興味深いものがあります。
そのどちらもが僕に刺さってくるのは、「女性」というフィルターがあって…ってことなのかもしれません。(ロンドンでお二人が対談したら、その視点では意気投合なんじゃないか、と)
僕自身は多分ドメに生きていくことになるんだろ思いますが(犬もいるしw)、さて子供たちはどうかな?
冨山和彦さんがおっしゃる「Lの世界」で生きていくのもいいかな、とは思っています。
やっぱ「Gの世界」はシンドイよw。
でも視野としては「グローバル」な視点も持っておいた方がいいだろうなぁとも思ったりするんですよね。
特に娘の方は。
どうであれ、選択するのは子供たち自身。僕は口を出すつもりはありません。
でも僕自身の視野も、未来に向けて広げておく必要はあるだろうな、とも。
こういう本を読む面白さは、そこかな?
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